第32話:星晶はまだ、そして王都へ
山脈の夜明け。
俺たちは岩場を一歩一歩登り、谷間を覗き、星片を探しては袋に詰めていた。
「……また、ただの星片だな。」
ディルが肩を落とす。
「ピィィ……。」
フェリアが心配そうにアルネアを見た。
「……キュー……(ぜんぶ……小さい……)」
アルネアの羽耳がしょんぼりと垂れる。
「……やっぱり、落ちてきたときに砕けちゃうんじゃないか?」
ニールが呟く。
俺はアルネアの背を軽く叩いた。
「お前なら、きっと見つけられる。まだまだこれからだろ?」
「……キュー……(でも……でも……)」
「諦めるなよ。お前は強いじゃないか。俺が知ってる。」
アルネアは一瞬、目を伏せたあと――
「……キュッ……!(あきらめない!)」
ぱたぱたと羽耳を揺らし、俺の胸元にすり寄った。
「お、おい……くすぐったいって……!」
「キュー……キュー……(もっと絆を深めるの……きっと、それで……)」
アルネアはすりすりと頬を寄せ、まるで誓いを立てるように目を閉じた。
俺もそっと頭を撫でる。
「……ああ。俺たちは、まだまだ行ける。」
---
しかし帰還後、サリウスに王都からの使者がやってきた。
「……招集状、ですか。」
「はい。真名研究の進捗を報告せよとのことです。」
使者が恭しく頭を下げる。
サリウスが俺たちを振り返った。
「……一人で行くべきかもしれませんが、できれば……君たちも来てくれませんか。
私たちの研究成果を、直に王へ伝えたい。」
「……行くに決まってるだろ。」
俺は迷わず答えた。
「もちろんだよ!」
「村の誇りだもんね!」
ディルとニールも頷く。
アルネアがぴょんと跳ねた。
「キューッ!(行く!)」
ヴァルも低く鳴く。
「ヴォォ……!」
---
そして出発の日。
王都へ向かうため、俺たちは久しぶりにおめかしをした。
「……これ、まだ着れるかな?」
母が仕立て直してくれた礼服を袖に通す。
「カノン……似合うじゃん!」
ディルが笑う。
「キュー♪(カノンかっこいい!)」
アルネアが頬を染めて羽耳を揺らした。
ニールは慣れないネクタイに四苦八苦。
「おい、これどうやって結ぶんだよ~!」
「ふふ、貸して。」
フェリアが小さな手で器用に整える。
そして王都の大門をくぐる。
人々の視線が集まり、街のざわめきが近づいてくる。
「……懐かしいな。」
サリウスが小さく呟いた。
謁見の間。
玉座の前に進み出た俺たちを、王が優しく見つめていた。
「――よくぞ来た。真名と番の研究、そしてその成果を聞かせてほしい。」
俺はアルネアをそっと抱え、深く一礼した。
「……はい、陛下。」
星晶はまだ見つからない。
けれど、俺たちは確かに進んでいる。
番の絆を、真名の意味を、世界へ伝えるために。
新たな章が、王都で始まろうとしていた。
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