Golden Afternoon
空気が澄んでいるように感じた。単に冷えているだけだったかもしれないけれど、喉をすう、と通って行く感覚が透明だった。温く滞った空気から出て来たからかもしれないし、他人行儀の空気から脱したからかもしれなかったけれど、泣きそうなときの空気と似ているなと思った。もしくは、こんな空気のときに泣きたくなるのかもしれない。
傾いた太陽がきらきらと光っていて、赤というより黄の、金色と言っても差し支えない日差しが辺りを包んでいた。いつもは何とも思わない道がひどく完成された作品のように視界を満たし、人工物も無闇に植林された杉たちも自然なものに思え、世界はあるべき姿そのままの形をしているようだった。幸せに狂いそうな悲鳴からも悪意に充ちた笑いからも取り留めもない冗談からも解放された頭はぐらぐらと揺れていそうに呆けている。
(私が幸せになれない世界なんて、消えてなくなればいいのに。)
呟いた私に反比例して世界は美しく耀く。
けれどだからこそ安心して、息をするように自然に横暴な言葉を言えるんだろう。
私が幸せになれない世界は、きっと
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