07.「そうですね」

『会いたい。迷惑かな。』


『無理です』


『まだ僕は、君に信用されていない?』


『そうですね

 してません』


『どうしても、駄目かな。

 メールの文章なんかで信じろっていうのも無理な話かもしれないけれど、僕は君と純粋に会って話がしたいだけなんだ。』


『迷惑です』



 どうしてこんなに人が多いのだろう、と思った。実はいつもと大して変わらなかったかもしれないけれど、今の美都には煩わしくて仕方がなかった。

 もう中田とのメールはみんな消してしまった。アドレス帳にも、もうその名は載っていない。

 消しながら何度も考えたのは、最後のやりとりについて。あそこで「会いましょう」と言えていたら何か変わったのだろうかという、どうしようもない「もしも」の話。

 けれど次にはやっぱり無理だという思考のおわりにたどり着く。そんなものは、中田の為になりはしない。ただでさえ後継ぎという形の社長で信頼も薄いだろうに――、相応しい相手が居て、周囲もその人と結ばれることを願っているなら尚更だ。

 彼から向けられている好意を、何も考えずに受け取る訳にはいかない。だから「無理」。本当は迷惑なんかじゃなくても、美都にはそう言うくらいしか方法が思いつかなかった。


 歩行者用の信号が青に変わる。

 あの間違いメールは今みたいな下校中に来た。一年前を思い起こしながら考える。

 もう来ない。次で最後。

 今だって明日だって、中田からの“間違いメール”は来たりしない。


(わかってるよ…)


 ――わからない。

 わかりたくない。


 このまま次のメールが来なければいいのに。両手で顔を覆って息を吐く。そのとき、


 ポケットの中で携帯が震えた。

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