弁証法
あなたにとっては幸せだ
あの人との止揚(アウフヘーベン)を
果たした
のだから
わたしは
あの人と
あなたが
合(ジンテーゼ)へいたるための
反(アンチテーゼ)に過ぎなかった
舞台装置の
ひとつ
「もの」は
案外
わたしだったのかもしれない
わたしは意識していないし
あなたもそのつもりはないはずだから
「もの」扱いとはちがうだろうけれど
さりとて
心のスタビライザーとしてのわたしは
あなたがひとりでゆけるのなら
あの人がその代わりを果たすなら
使い古しの道具となる
そんなものはもはや
必要ないのでしょうね
ずっと
ねむっていたい
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