第2話

その日も私は真夜中過ぎにカーテンを開き、外を眺めた。

窓から見える交差点。

私の住むアパートの斜向かいにあるマンションの4階、真ん中あたりに目が止まった。

一室の窓が、鮮やかなグラデーションを不規則に点滅させていた。


光は目まぐるしく変わる。

時にグレーに、時に鮮やかなオレンジに。

ここから見えるあの窓は南東を向いている。

日当たりを優先した、一番窓の広い部屋のはずだ。

それがまるで、横長の大きなスクリーンのように様々な光を放つ。


…そうか。何かの番組か映画を見てるんだ。

部屋の灯りを消して。

その光が、おそらく薄いカーテン越しにこちらに透けて見えるんだ。


暫くして再び外を見ると、まだその部屋の点滅は続いていた。


…まだ起きてるんだな。


こちら側から見ると、変化するその光そのものが美しかった。少なくとも私には美しかった。

なんの映画を見てるのだろう。

あんなに鮮やかな色が次々出るなんて、アクションものだろうか。ダイハードとか?


なんて 安易な発想をしながら、私は冬の夜長を楽しんだ。

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