幼なじみパーティから捨てられたので、途中で再会したもう一つの幼なじみパーティと一緒に魔王軍に向かったら、更に別の幼なじみがいた ~全て幼なじみの手のひらの上でした~
第1話【捨てられたので魔王に会いに行きました】
幼なじみパーティから捨てられたので、途中で再会したもう一つの幼なじみパーティと一緒に魔王軍に向かったら、更に別の幼なじみがいた ~全て幼なじみの手のひらの上でした~
白河そら
第1話【捨てられたので魔王に会いに行きました】
やぁみんな、私の名前は梨花。どこにでもいる、ただの百合好きの会社員だ。あと、女の子っぽい名前だけど、歴とした男だ。まぁ、『元』がつくけど……。
突然だが、いま目の前には魔王がいる。可愛らしい。
なぜこうなっているのか。それは、聞くも涙、語るも涙な話なのだが、まず私は死んだ。そして、気づいたら異世界に転生して、リリカ(女の子)として生を受けて過ごしていた。
ちなみに死んだ理由については秘密だ。女の子は秘密の一つや二つ持っているものだ。決して死んだ理由を知らないとか、そういうことではない。
さて、生まれ変わって15年後、この世界では、15歳で成人らしいから、異世界テンプレにありそうな、教会で神の祝福を受ける、『成人の儀』というイベントがあったんだけど、そこでは『武芸マスター』とかいうチートもチートすぎるスキルを貰い、幼なじみと旅に出たんだ。
それから1年、色々なところを旅した。それで今回は、王都に訪れたんだけど、そこで思いもよらない出来事に遭遇してしまったんだ。
「リリカ、君にはパーティを抜けてもらう」
「え?」
青天の霹靂だった。これまで、幼なじみとして仲良くやってきたつもりだった。
けれど、彼女たちはそうではなかったようだ。
「すまない……。君を守るには、こうするしかないんだ……」
何か言っていた気がするけど、放心状態だった私の耳には届いていなかった。
それから別の街へと向かった。
前にも訪れたことのある街だ。
魔王領と接しているこの街は、屈強な冒険者たちが多かった。
無論、屈強な、というのは何も筋肉だけのことを言っているわけではない。力こそパワーと言いそうな人達ばかりだが、魔法に長けた人達も多かった。
そんな街をトボトボと歩いていると、前からとあるパーティが歩いてきた。
先頭にいる女の子が私を見かけるや否や、大きな声で呼びかけてきた。
「リリカー!」
「んあ?」
「やっぱりリリカだ! うわー、久しぶりー! アイシャたちと同じパーティだったんじゃなかったっけ?」
見たことある女の子かと思ったら、同じ村出身の、ミリアだった。
彼女は、去年の成人の儀で『超賢者』とかいう頭のおかしい称号を授かっていた。
なんだよ『超賢者』って、『賢者』でいいでしょうよ。せめて『大賢者』でしょ。
「ああ、うん。かくかくしかじかなことがあってねー」
「あーね、うん。大変だったね」
今ので通じたらしい。かくかくしかじかって便利な言葉みたいだ。
「で、何だって?」
前言撤回。何も通じてなかったようだ。
仕方なしに、色々と説明した。仲が良かった幼なじみなだけに、悪口を言うのは気が引けたので、実際にあったことだけ伝えた。
「なるほど……。なら、魔王軍行こう!」
「なんで!?」
ミリアの突然のセリフに少々驚いてしまった。少々じゃないって? 気のせいだ。細かいことを気にしていたらハゲるぞ。
「いやぁ、私もね、『
大体想像はつく。
『は? 超賢者? そんな称号、見たことも聞いたこともないぞ? 勝手に作っちゃダメだ』
『超賢者とか草。pgr』
『超賢者とか厨二病かよ笑笑笑』
きっとこんな感じだろう。
「何だかリリカがよろしくないこと考えている気がするけど……まぁ、いいわ。それより、行くの? 行かないの?」
どこに行くのか逡巡したが、そういえば魔王軍に行くという話をしていた気がするので、一応頷いておいた。
それから数日後、ミリアたちと一緒に魔王城へ辿り着いた。
魔王軍は、当然モンスターばかりではあったが、話してみると意外に気さくでいい人たち(?)だった。
魔王の秘書だというミイラ男のミーラとともに、魔王の玉座へと向かった。
「ここから先は魔王陛下の御前である。魔王陛下は、お前たちと同じ人間であるため、離しやすかろうが、あくまでも魔王陛下である、ということを努々お忘れなきよう」
ミーラはそう言うと、玉座へと続く扉を開け、中へ入るようにと促した。
玉座の近くへと進むと、1人の女の子が気怠げそうな顔でどう考えても人間が座ることを想定していない大きさの玉座でゴロゴロしていた。
「あー、よくきたなー。我が魔王のシンシアだー」
「気怠げっていうか投げやりというか、適当というか……」
「ていうか、何か聞き覚えのある声に聞き覚えのある名前……」
「ん? 何だか聞き覚えのある声が聞こえたような……」
シンシアは
「あー! リリカに……誰だっけ」
「ミ・リ・ア!」
「ああ、そうそう。超賢者(笑)のミリア」
シンシアのイジリに対して、ミリアは頬を膨らませた。可愛い。
「で? 何で2人とも
「色々ありまして……」
ミリアはイジイジと髪をいじり始めた。
それから、ミリアとリリカはここに来た理由を簡潔に説明すると、シンシアは目を椎茸にした。
「よし、それなら2人ともここで働くといい! 武芸マスターのリリカと、超賢者(笑)のミリアがいれば、怖いものなし!」
目を椎茸にしたシンシアは、高笑いをしていたが、周囲の魔族とモンスターたちは、それをハラハラと見ていた。
「時に、リリカ、ヤミリア」
「ヤミリアって誰よ」
「君たちは、『別称号』というものを知っているかい?」
シンシアのボケに対して、ミリアが「おーい、無視かよー」などと言っていたが、まぁ無視でいいだろう。
それよりも、『別称号』というものの方が気になる。
「『別称号』とは、要は第2の称号みたいなものだ。例えば、私は『成人の儀』で受けた称号は『格闘マスター』だった。しかし、第2の称号では『魔王』となっていたのだ。つまり、私がここにいるのはある意味で必然だと言えるのだ!」
シンシアは、ちっちゃい手を天に突き上げた。その瞬間、玉座の真上が吹き飛んだ。
唖然としていると、周囲の魔族とモンスターたちは「あーあ、またか……」といった風に捉えていたので、日常茶飯事なのだろう。つまり、気にするだけ無駄ということだ。
「そんなことより、『別称号』……第2の称号だっけ? それって、どうやって分かるのよ。『成人の儀』で分かる称号は、一つだけよね」
この惨状を「そんなこと」で片付けられるミリアも、相当ぶっ飛んでる……いや、肝が据わっている。
「アミリアよ、そんなのは簡単だ。この、『鑑定の宝玉』を使えばいい」
「アミリアじゃないんだけど?」
「この、『鑑定の宝玉』は、手をかざした者の称号とステータスが表示されるのだ」
何だかゲームみたいに感じた。
ミリアの方を見ると、ミリアは今にも『鑑定の宝玉』に触れようとしていた。
シンシアもそうだけど、よく得体の知れないものに触れるものだ。
まぁ、ミリアが触ったあとに私も触るけどね!
「ちなみに、このステータスや称号は周囲に見えるからね。まぁ、見せたくないものは見せられないようにできるけど」
ミリアが触れると、『鑑定の宝玉』からブワッとホログラムのようなものが飛び出してきた。
名前、性別、年齢、称号、ステータスだけではなく、好きな人、好きな食べ物、嫌いな食べ物など、人に知られたくないような内容まで飛び出してきた。
「わっわっわっ! 見ちゃダメー!」
ミリアがそう叫ぶと同時に、ミリアから煙のようなものが出てきて、辺りを包み込んだ。
それから事態が収束するまで少しかかった。
事態が収束しても、ミリアは顔を真っ赤にしてプンプンと怒っていた。
「エミリアよ、そこまで怒るところか?」
「怒るところ!」
どう考えてもシンシアの発言は火に油を注ぐだけだと思うけど、掛け合いが可愛いから、問題ないね!
「次は、リリカの番! 私と同じく恥ずかしい目にあえばいいんだー!」
ミリアの可愛い鳴き声を背に受け、『鑑定の宝玉』に触れた。
その瞬間、ホログラムがブワッと表示された。
「第2称号……『
『
百合の花園……。恐らく、百合ハーレムのことだろう。そして、その女王ということは、私の私による私のための百合ハーレムが作れる、ということだ!
「リリカ、何だか怖い……」
おっと、ミリアが引き気味だったので気を引き締めないと……。
「そういえば、リミリアの第2称号ってなんだったの?」
「リミリアじゃないけど、私の第2称号は……超参謀だって」
ミリアの称号は、“超”がつかないといけない決まりでもあるのだろうか?
「ちなみに、私は超聖女でした」
超聖女ってなに? 大聖女なら聞いたことあるけど、超聖女なんて聞いたことないんだけど? ていうか、モブだと思ってたミリアのパーティ、意外な特技があるみたいだ。
「でも、聖女って言われても、神聖魔法なんて使えないんだけど……」
「モブ子、大丈夫だ。きっと後からそのうち覚える」
モブ子と呼ばれた女の子が「モブ子じゃないんだけど!?」と言って頬を膨らませていた。
ちなみに後から聞いたところによると、どこからどうみても女の子にしか見えないが、男の娘だそうだ。
幼なじみパーティから捨てられたので、途中で再会したもう一つの幼なじみパーティと一緒に魔王軍に向かったら、更に別の幼なじみがいた ~全て幼なじみの手のひらの上でした~ 白河そら @Sora_Shirakawa
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