創作は楽しかったから始めたはずなのに、いつの間にか死の山に登っていた。登らなくてもいい、いつやめてもいい。条件はゆるいはずなのに、一体なぜ登り続けるのか。喜びも達成感も一瞬で消えてしまう。理解者の恵美を、女神と読むか未練と読むか。本作は解釈を受ける対象ではなく、読み手に迫り問いかける作品です。成熟した筆力と、これまでの経験の凄みが描く精神の登山。この山がある限り、創作は死なずに済みそうです。