第4話 理解なき者

「空き巣とか、意味わかんねーし。」


警察署から帰る車内で、順平は窓の外を見ながら、心の中でそう毒づいていた。空き巣が入ったって騒ぎ立ててるけど、俺からしたら、ただの“ファン”が家に遊びに来ただけじゃね? それなのに、親父も警察も、まるで俺に非があるみたいな顔をしてやがる。バカじゃねえのか。


「全部、周りが勝手に問題にしてるだけだろ…」


iPadを盗んだって? だったら俺が使ってたiPadが“価値ある物”って証明されたようなもんじゃん。つまり俺はそれだけの“影響力”がある存在なんだよ。親父ももっと感謝してほしいよな、こんな有名人が息子に生まれてくれてさ。


警察のやつも説教してきたけど、正直、何言ってるかよく分かんなかった。反省しろ? 自重しろ? なんで俺が? 盗みに入ったのはあっちなのに、なんで俺が怒られなきゃいけないんだよ。馬鹿か?


「アンチが悪い。全部アンチが悪い。」


順平の頭の中では、いつもの言葉がリフレインしていた。そもそも俺は、誰にも迷惑なんかかけてない。ただ動画を出して、自分を表現して、それに嫉妬した奴らが勝手に騒いでるだけ。そんなの、俺にはどうしようもないし。


それなのに、親父のあの顔。ため息混じりで、眉間にシワ寄せて「ネット活動やめろ」だと? 笑わせんなって。だったらもっと早くから俺を応援してくれりゃよかったのに。いまさら手のひら返して「疲れた」とか、「母さんが悲しんでる」とか、知らねーよそんなの。


俺がネットで注目を浴びてるから、家族にも“注目”が集まってる。それはむしろ“誇らしい”ことだろ。普通の奴じゃ絶対経験できないことをさせてやってんのに、なんで感謝されないんだ? まったく、理解がないんだよ、みんな。


───俺を分かってくれる人間なんて、どこにもいないのかもしれないな。


でも、だからこそ俺が“本物”なんだと思う。理解されない才能、それが真の才能だ。俺を叩くやつらも、俺に群がるやつらも、みんな俺の影響力に惹かれてる。つまり、俺は間違ってない。


どれだけ説教されても、どれだけ家族に冷たい目で見られても、俺は俺を貫く。


だって、悪いのは俺じゃないから。

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