第6話

--- 桜川瑞穂をテイムしました。


 桜川瑞穂 魔女

   魔法


 じょ、女子高生をテイムーーー。

 青少年保護条項がーー、不純交遊がーー。援交――。こんなの知られたらーーー。

 私がパニくると彼女は「て、テイムされちゃいました。こ、こう言う時は『ふつつか者ですが末永くよろしくお願いします』」と。

 それ、違うから!

二人でドタバタしたけど、やっと落ち着き話し始める。

 落ち着いて彼女をみると本当に可愛い娘だ。

 黒髪をポニーテールにまとめて活発な感じだが、仕草のそこここが洗練されてている。

 背はすらりとしていて、さっきマールが乗っかった胸も豊かで、いや彼女の真摯さが眩しいからそれは置いておこう。

「わたし、ジョブが魔女になってますね。テイムされた事でこんな事もおこるんですね」 魔法使い系なんだろうけど、確か魔法を使える人は滅多にいないレアじゃなかったっけ。

 とにかく、テイムしてしまったし彼女を一人で探検させる訳にはいかない。引率者として一緒にダンジョン探検もすることだし、親御さんにだけは報告しないと。

 私は彼女を車に乗せて…、と言うにはこんな可憐な女の子を乗せるには相応しくないような軽トラではあるが、案内されて彼女の家に向かった。

 こ、これが君の家?私は重厚そうな造りの大きな家にびびりまくっていた。

 門から入り、玄関を開けると和服に身を包んだ楚々とした美人が出てきた。

 桜川さんと良く似ているから彼女の母なのだろうが若くて桜川さんの姉かなとも思ってしまう。私と同じくらいじゃないのか。

「いらっしいませ。先ほど娘から連絡を頂きましたので事情は多少判っております。

 まずはこちらでゆっくりしてください」

 客間のソファーに座り、出されたお茶をゆっくり啜り、心を落ち着けた。

「それで私の娘をテイムしてくれたそうですね」

 き、来た。不可抗力で解除の仕方も判らないと言うことを冷や汗をダラダラ流しながら説明した。

「娘がダンジョンで鍛えるのは大和撫子としての本道ですし、そのためにどんな試練も超えなければなりませんので、テイムについては問題ありません」

 私はホッとしながら「勿論、瑞穂さんをダンジョンに連れて行くにあたり(引率者として)私のできる限り安全を優先し、彼女をきっと彼女を護りぬきます」

 私はブラックな会社とあぶく銭で社会からはずれてしまった半端物だ。

 彼女の様にやりたいことに夢を持っている人は是非応援してあげたい。そんなことを一生懸命説明した。

「判りました。あなた様の覚悟をお聞きして娘を任せる事にします。

 はなはだ未熟な娘ですが末永くよろしくお願い致します」

 思わず肯いてしまったけど、それなんか違うから。

 こら瑞穂ちゃん、そこで頬を染めて顔を隠すんじゃないっ。


 私はどっと疲れて帰途についた。そんなあんなこんなで私がメンバーで一番レベルが低いことに気付くのはその翌日だった。

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