炭水化物の錬金術師 〜パンが好きすぎる見習い錬金術師、偏屈師匠やドM騎士と暴走〜

第14話 レッツメイクヤタイノケバブ ⑥

　私エマ。ケバブ食べ素早さ↑↑。いざ王宮。

「あ、エマっち、こっちこっち。探したじゃん。もう始まる系だし。遅かったから心配アンドすっぽかし期待しちゃっ……」

　発見。

「■△⚪︎×＊」

「なんっ！？　はっっっや！　早口すぎん！？　なんて！？」

　減速。

「ダンス上達魔道具素早さマックス」

「なんて！？　ゆっくり喋ってそれ！？　省略が激しくて結局分かんないじゃん！　置いてけぼり最高！？」

「エン麦粉食品超美味」

「それはすげえ何言ってるか分かるじゃん」

　舞踏。一曲目。

「この状況で続行するところ超良いし！」

「喋る舌噛む」

　倍速、貴方何故可能？

「無茶振り最高！」

　周囲注目。一曲目終了。

「す、素晴らしいダンスでヤンス！」

　第一王子拍手。

「彼女は一体……？」

　眉目秀麗青年おそらく第二王子驚愕。

　こちらへ。

「はじめまして、エミリア・ベーカー嬢。よろしければ僕と一曲いかがでしょう」

　正気？

「俺ガン無視されてる……これだから権力って堪らん」

　興奮禁止。

「どうする？　婚活興味ある？　それとも暴力で全てを解決する？」

　生き急ぎ。

「おや？　何か誤解をされていらっしゃる。僕はルーカス・ベイリー。第二王子リオット様のお付きをしております。気軽にルカとお呼びください」

　非王子。

「ははは、よく間違われます。酷い者も居て、本物の王子を差し置いて僕のことを腹黒王子などと影で呼ぶ者もいるんですよ」

　いずれにせよご遠慮。

「……ダンス中に教えていただけませんかね。その素晴らしい効果をもたらした不思議な魔道具の秘密を。そう、例えば、舞踏会の誘いを断り、庶民とそんなものを作るのにうつつを抜かしていた愚か者は誰なのか、とか」

「既知」

　耳打ち。

　腹黒王子、的確な命名。