36話

◆プラネットクラッシャーの終焉

 一方、倒れているプラネットクラッシャーたち。勝とブルーは、デストロイにより、致命傷を負っていた。勝は言った。


「儂の、命は、ここまでだ」


 ブルーは言った。


「お姉ちゃん、私、お姉ちゃんの傍に来れて、よかった」


 勝は、濃い紫の靄に、ブルーは、青い靄になり、消滅した。バイオレットは叫んだ。


「親父ー!!」


 オレンジは叫んだ。


「ブルーっ!!」


 バイオレットは、満身創痍の中、笑った。


「けけけっ。俺様は、死にたくねぇ」


 隣で倒れているオレンジは、先ほど叫んだ為、体力を消耗し、息も絶え絶えだった。


「おい、オレンジ、お前も死にそうだなぁ?」


 ふらつきながらバイオレットは立ち上がる。そして、右手を太い針のように変化させた。


「オレンジ、お前の、力を、全部、俺様に寄越せ」


 異変に気づく芯。そして、呟く。


「ま、まさか、彩さんは、勇くんにじゃなくて?」


 芯は、走り出した。しかし、その瞬間バイオレットの右手の針がオレンジの胸を突き刺した。


「あああああっ!!」


 オレンジの断末魔の叫びが海岸に轟いた。橙色のオーラが針に沿ってバイオレットに移動していく。やがて、オーラは消えた。そして、オレンジは言った。


「ゆ、る、さ、な、い」


 オレンジは、橙色の靄となり、消滅した。芯の悲壮な叫びがそれに吸い込まれるように響いた。


「彩さああぁんっ!!」


 さしもの累も、バイオレットの所業にうろたえる。


「な、仲間をっ」


 傍らにいたフラワーは言った。


「お姉ちゃん、残念だけど、そうなんだよ」


 トリプルは言った。


「バイオレットっ。駄目だよ、そんなの」


◆海岸での最終決戦

 バイオレットのオーラには、橙色のオーラがちらほら混ざるようになった。ただならぬ雰囲気にフラワーはトリプルの元へと急行。一方、トリプルは感じた。


「当たり前だけど、1人で2人の力をバイオレットから感じるっ」


 バイオレットは、言った。


「カラミティ、アースセイバーを、倒せ。俺様は、地球を壊す」


 かつてない程の量のカラミティが発生。それに反応したのか、シードが繭から再び出てきた。


「といぷゆ!ふやわー!なみ、くりゅ!!」


 トリプルは、ゾッとした。シードがわざわざその事を伝えるということは、「普通の海からの波」では済まないであろうと。トリプルは、呟いた。その声は、濃い焦りの色が見られた。


「カラミティと戦ってる時に、そんな波が来たら、どう守ればいい?」


 無情にもトリプルは、フラワーと共にカラミティに囲まれる。フラワーは叫んだ。


「シード!危ないから、隠れてて!!」


 しかし、シードは言う事を聞かなかった。


「といぷゆ、ふやわー、しゃいご!しぃじょ、みりゅ!!」


 トリプルは、カラミティにパンチや水の洗い流し、炎の焼き尽くしを始めつつそれを復唱した。


「僕ら、最後?シードは見てくれる?」


 トリプルは、気合いを入れた。


「これが最後の戦いなら!僕は壊れてもいい!全力でいく!!」


 そんな決意と裏腹に、トリプルは、カラミティから傷を受ける。


「くっ!」


 フラワーは、叫ぶように言った。


「セイブ・フラワー・ストーム・ヒーリング!」


 その花びらの嵐は、トリプルの傷を治した。しかし、その次の瞬間には再び傷が増える。フラワーは擦り切れそうな声で言った。


「私の花びら!消えないで!トリプルを癒し続けて!!」


 花びらの嵐は、その命に従った。副産物として、カラミティの目眩ましにもなった。隙が出来た事から、トリプルの攻撃と、フラワーの攻撃も通りやすくなった。トリプルは言った。


「ありがとう!フラワー!!」


 花びらに包まれながらトリプルとフラワーは、カラミティと戦い続ける。


 一方、遠くでそれを見ていた恭が動いた。砂浜で立ち尽くしていた累に駆け寄る。


「累姉ちゃん!危ねえよ!!そっちの男の人!逃げようぜ!!」


 恭に手を引かれ、累と芯は、戦場から遠ざけられた。放心状態の累と芯は、純粋にトリプルとフラワーを応援する恭の元で、戦いを見続ける事になった。


 そんな中、バイオレットは、荒れ狂う冬の海の上空に移動して行った。そして、下を見つめる。


「この有り余る海の水で、とりあえずここを壊すぜ!!」


 破壊衝動に表情を歪ませたバイオレットは叫ぶように言った。


「ターゲット・デモリッション!!」


 僅かに橙色の差し色が入った紫の塊がバイオレットから海面目掛けて発射された。それを、トリプルはカラミティに囲まれながら見て叫んだ。


「バイオレット!駄目だよぉ!!」


 バイオレットは、笑いながら言った。


「全てをなぎ倒せ!海よ!!」


 海の波は、ターゲット・デモリッションによって凶器に成り果て、陸地に迫る。フラワーは言った。


「あんな波で壊されちゃったら、私の花びらで直せないかも!」


 それを受け、トリプルは叫ぶ。


「僕の盾っ!波から、街を守ってぇ!!」


 トリプルの翼から羽根の盾が量産され、砂浜に刺さる。それは、すき間なく繋がり、まるで防波堤のようになった。バイオレットは舌打ちをし、言った。


「カラミティ!あいつの盾に風穴を開けろ!!」


 カラミティは、防波堤になった盾に突進して行く。トリプルは、叫んだ。


「セイブ・ウイング・チェイス・ニードル!!」


 カラミティに、針が刺さりバイオレットの命令は阻止された。そして、凶器の波は、盾の防波堤に到達。押し戻される。また、その中にいたカラミティは、溺れ、消滅。バイオレットの苛立ちは最高潮に達した。そして、トリプルの元に急襲した。

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