第1話:謎のスポーツ

謎のスポーツ①

 未来考古学委員会の会議室では、メンバーが真剣でありながら、困惑気味の表情を浮かべていた。

 理由は本日の議題。並べられた古文書だ。

 メンバーは事前に古文書には目を通していた。だからこそ困惑する。


 リーダーのズベリが口を開く。

「それでは、本日の審議を始める。議題は、皆に事前に目を通してもらった、この一連の古文書じゃ。極めて異例な古文書であると言える」


 メンバーのアヤナが頷きながら口を開いた。

「確かに異例だわ。紙の資料は残っているだけでも珍しいのに、各地で同じ内容の古文書が見つかるなんて。それぞれの地域の言語に翻訳してまで。信じられないわ」


「同感だね」メンバーのセクーが同意を示す。

「それだけ重要な内容だというわけか」


 それに対して、メンバーのエコンが少し馬鹿にするように反論した。

がか?」


 セクーが不愉快さを顔に表す。エコンをにらみながら、さらに反論した。

「にわかには信じられない内容なのは、僕も認める。だが、この古文書の存在の異例さ。君だってわかるだろ?」


 エコンが舌打ちをする。エコンもそれに対しては異論は無い。


 最後のメンバーであるマライカが二人を取りなす。

「まあまあ、エコンさんもセクーさんも落ちつきましょうよ」そう言って彼女は優しく微笑む。

「でも、本当に不思議な古文書」マライカは表情を引き締めて続ける。

「皆さんも気づかれていると思いますが、この古文書は連作です」


 ズベリが頷き、口を開く

「さよう。この古文書たちは、長い物語じゃ。じゃが、残念なことに抜けている部分もある。特に残念なのは、最後の物語は未発見ということじゃ。最後の物語があればの話じゃがな」


「それに関しては、今後の発見を期待するしかありませんね」セクーが応える。

「ケッ!紙の本がそんな都合よく見つかるかよ」エコンがつぶやいた。

 セクーはエコンを軽くにらむが、その言葉は正論だと認めざるをえない。


「はー」とため息をつきながら、アヤナが長く美しい髪をかき上げる。イライラしているときの彼女の癖だ。

「審議を進めましょう!」アヤナが強い口調で言った。


「うむ。そのとおりじゃ」ズベリがアヤナの発言を受ける。


「そうですね」そう言って、セクーは軽く咳払いをした。

「これらの古文書は、一人の男をメインに語られている。この男の成長物語と言ったらいいのかな?各地に書き残す必要があるほどの、重要人物だと考えるのが自然ではないだろうか?」


「それだけスゲー男だったわけか」エコンが机に並べられた古文書をにらみながらつぶやいた。


「でもですね」マライカが控えめに口を開く。

「そんなすごい人なのに、あたし他の古文書で、この人の名前を見たことがないんです」


「奇妙な話ね」アヤナが古文書を見ながら整った形の眉をひそめた。

「各地に残さなくてはならないほどの重要な話なのに、この人物の名前は他の古文書には出てこないなんて」


 未来考古学委員会のメンバーは、互いの顔を確認した後、机の上に並べた古文書に目を落とした。

 そこにある古文書の表紙には、すべて共通の名前が書かれていた。




―― ハリー・ポッター

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