謎のスポーツ②

 リーダーのズベリが口を開く。

「このハリー・ポッターなる人物。最後の物語が未発見のため、何を成した人物なのかは、結局は不明じゃ。しかし、これだけ各地から彼に関する古文書が見つかったことを鑑みるに、ロストテクノロジーの時代の重要人物なのは間違いない」


「この人、苗字がある人なんですね。ハリーとポッター、どちらが苗字でしょうか?」マライカが疑問を口にした。

「苗字が前か後ろかは、文化によって違うからな。判断がつかねぇ」エコンが応じる。

「幸い、僕たちの調査に、その問題は関係ない。深く考えなくてもいいんじゃないかな」セクーもマライカに応じた。


「で、リーダー。これらの古文書には、いろいろと議論の余地がありますが、まずはどこから始めますか?」アヤナが審議を進めようとする。

「うむ。まずは古文書に何度も出てくる謎のスポーツ“クィディッチ”について審議したい」

「スポーツ、ですか?」アヤナが美しい形の眉をひそめた。


「スポーツ?もっといろいろあるじゃないっすか、リーダー」エコンが不審さを隠さずにズベリに意見する。

 セクーも同意して続ける。

「それにこのクィディッチなるスポーツ、箒で空を飛びながら競うとある。いくら何でも……」

「箒くらい俺の家にもあるが、浮いたところなんて見たことないぜ」エコンが軽口をたたく。


「でも……」おずおずとマライカがしゃべりだす。

「ロストテクノロジーは、“星の海”まで行っていたことが証明されているじゃないですか。それに比べれば、箒で空を飛ぶくらい簡単なことだったのでは?」


 その言葉に、他のメンバーは考え込む。

「そうね。星の海、宇宙といったかしら?そこに行くのに比べれば、簡単なことだったのかもしれないわ」アヤナがマライカの意見に同意した。


 ズベリがうなずきながら口を開く。

「わしの考えを聞いて欲しい。ロストテクノロジーは、宇宙までも行く技術を持っていた。無論、我らにそれを再現する力はない。それどころか、ロストテクノロジーは空を飛ぶ技術をいくつも開発していたのに、我らはそれすら再現できず、地に這いつくばっておる。そこで、このクィディッチじゃ。ここから、空を飛ぶ技術のヒントが何か得られればと考えた」


「なるほど。スポーツではなく、“空を飛ぶ技術”に注目したわけですね。さすが、リーダー」アヤナが納得した顔をする。


「しかし、リーダー」セクーが口を開く。

「僕は以前、地下遺跡で空を飛ぶ技術、航空機の残骸を見ました。ヘリコプターというタイプのものです。あれはこの部屋よりも大きかった。ロストテクノロジーといえども、空を飛ぶにはあれほどの大きさが必要だったということです。箒で空を飛ぶなどと」


「しかも航空機は、ほとんどが金属の塊だったんだろ?」エコンも口を開く。

「だがよぉ。俺がこのクィディッチで一番信じられないのは、サッカーよりも面白れぇという記述だ」


 サッカーは奇跡的にこの時代まで残っており、大人気のスポーツである。

 男の子も女の子も、一度はプロに憧れる。


「僕もそれについては賛成だ。しかも、『サッカーの何が面白いのかわからなくなるくらい面白い』というような記述もあった。……あり得ない」そう言って、セクーは何かを考えこむように黙り込んだ。


「まぁ、その気持ちはわしもわからんでもないぞ」やはりサッカーが好きなズベリが、ぼそりと言った。


 アヤナが苦笑しながらマライカを見る。マライカも表情でそれに応じるが、マライカもサッカーは好きなので、男性陣の気持ちも理解できた。


「とにかくよぉ。箒で空は飛べねぇよ」エコンが自分で脱線させた話を、無理やり元に戻した。

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