第9話 絡まる指先
午後、教室の後ろでグループワークの続きが始まった。資料の山が机を覆い、三人で最終調整に入る。花子は昨日からの棘を胸に、今日は少し積極的に動くことにした。太郎の隣に座り、グエンさんを向かいに配置する。「じゃあ、今日でまとめようか。グエンさん、パート確認して。」 グエンさんは頷いて、ノートを広げる。
作業中、グエンさんがベトナムの祭りの説明を書き直している。花子はそれを覗き込み、意図的に指摘する。「ここ、ちょっと間違ってるかも。ランタンの色、赤じゃなくて金色だよね? 太郎、調べてみて。」 花子は太郎の腕を軽く叩き、注意を引こうとする。太郎はスマホを取り出して検索し、「あ、確かに金色が多いね。」 と返す。グエンさんは少し慌てた顔で、「ごめん、確認するよ。」
しかし、グエンさんはすぐにフォローする。「でも、地方によって赤いのもあるの。佐藤くん、これ見て。」 彼女は自分のノートを太郎に渡す。資料を渡す瞬間、グエンさんの指が太郎の手に絡む。細い指先がゆっくりと滑り、爪の先が皮膚を優しく撫でる。温かな感触が長く残り、グエンさんの手が少し震えているように感じる。彼女の指が離れる時、ほんのり汗ばんだ掌が触れ、甘い匂いが漂う。花子はそれを見て、心の棘が鋭く刺さる。なぜ、こんなに自然に触れ合うの?
グエンさんはベトナム語でぼそっと。「Tay anh ấy... Chạm thế này, tim em đập mạnh quá.」 「彼の手... こんなに触れて、心臓が激しくなる」みたいな意味。好意がにじむ独り言を、太郎は聞きながら知らないふりをする。花子はわからないまま、二人の絡みを睨むように見つめる。グエンさんがフォローしたおかげで、資料はより正確になり、三人の作業がスムーズに進む。「ありがとう、グエンさん。助かったよ。」 太郎の言葉に、グエンさんは静かに微笑む。
花子は嫉妬を抑えきれず、資料を強く握る。自分の気持ちが、こんなに溢れそうになるなんて。幼馴染の太郎が、グエンさんの指に触れられるのを、こんなに嫌に思うなんて。作業中、彼女は無理に笑顔を作り、「みんなでがんばろうよ。」 と声を掛ける。でも、心の中では棘が深く根を張る。グエンさんのフォローが、三人を仲良くさせるのに、花子の胸はざわつく。
作業が終わり、片付けの時間。花子は太郎に、「帰り、一緒?」 と尋ねる。太郎は頷くけど、グエンさんが「また明日。」 と頭を下げて去る姿に、花子の視線が追う。嫉妬が深まるけど、まだ何も言えない。夕陽が教室を染め、三角の影が微かに伸びる。関係はまだ、ゆっくりと引っ張られる。
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しれっとベトナム語でデレる隣の席のグエンさん Nano @nano95
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