第三十五話 『ポンコツ魔王、魔力を取り戻す』──リアベールの剣と共に。
通路をすすむと部屋があり、神殿のような場所に台座の上に箱がある。 そばには白骨がある。
「モンスターに殺されたのか......」
「ここはあのときの同じダンジョンですわ。 ですけど柱とか部屋が傷だらけですわ」
「確かに戦ったようなあとだな...... まさか、この白骨がここで戦ったのか」
「かもね...... これが石の箱、すこし隙間が開いてる」
ギガルトは石の箱をみている。
「このポンコツ魔王と黒い魔王がでてきたが、今回はなにがあるかな。 隙間からじゃ暗くて中はみえんな。 ディムリア手を突っ込んでみてくれ」
「誰がポンコツ魔王じゃ! 誰がそんなもんに手を突っ込むか!」
「ミリア、魔力は?」
「すこしだけ感じるですわ」
「なら開けて大丈夫か...... やばいと思いつつ、宝を期待してどうしても開けてみたくなる」
「開けよう!」
「......やばい奴らですわ」
おれとギガルトをみてミリアはつぶやく。
おれたちは石の蓋をあけた。 そこには割れた赤い宝石がある。
「これは...... あの黒いディムリアと同じ......」
「なにか懐かしい感じはするな」
そうディムリアが手に取ると、それは砕けて黒い霧のようになりディムリアにはいっていった。
「またか! 大丈夫かディムリア!」
「ふむ、特に...... いや、魔法を思い出した......」
「どうやら、この赤い宝石の魔力がディムリアと融合しているようだね」
ギガルトがディムリアを観察してそういった。
(ということは魔王の力がディムリアに戻ってるってことか?)
「どうやらこいつは人型じゃなかったみたいだな。 ん?」
箱の奥に剣らしきものがある。
「おお! 剣! 今回は錆びてない!」
そう剣をぬくと、剣は錆びるどころか赤く輝いてさえ見えた。
「あっ!! その剣はリアベールと同じじゃ! まちがいない!」
「本当か。 それならセリエスに戻すか。 うっぱらいたいけど、返さないと、うっぱらいたいけど」
「本音がだだもれですわ! すこしは隠すですわ!」
「うっぱらいたいけど帰るか」
「まって...... これは」
ギガルトが台座の裏にあるかきなぐったような文字をよんでいる。 その文字は読めなかった。
「何が書いてあるんだ?」
「なんとか復活した魔王を倒したらしい。 これはリアベールの子孫の一人だね。 この剣をもちい他の魔王復活を阻止しろと書いてある」
「じゃあ、あの遺骨は......」
「きっとリアベールの子孫ですわ。 ここで戦ったのですわ」
「復活した魔王、あいつを一人で倒したのか、すごいな......」
「それにどうやら、我は七つに分けられたようじゃな」
そう真剣な顔でディムリアはいった。
(だろうが、このディムリアだけ、別におかしくないのは何でだ? いやむしろおかしいのかも、いやこいつは普通におかしいか)
「なんじゃ、その顔は、何やら失礼なことを考えとるな!」
おれたちは遺骨を回収して、遺跡をあとにした。
「それでギガルトは何でついてくる?」
「あそこは古代遺跡を調べるためにいただけだよ。 もういる必要はないんだ。 君たちのところなら古代のことをもっとしれそうだし、それにこの宝石のこと調べてほしいんでしょ。 それにポーションやら魔法道具をつくれる」
そう宝石をみてギガルトはいう。
「なるほど、ただ妙な実験とかするなよ。 せっかく新築なんだ。 ぶっ壊されたらたまらん」
「そうじゃ。 我が居城じゃ」
「しないよ。 したとしてもディムリアちゃんを調べるくらい。 ひひひっ」
「それならかまわん」
「かまうわ! やめろ! 近寄ってくるな!!」
「いいじゃない。 調べさせてよ」
「いやじゃ!」
「いいぞ」
「よくないわ!」
「......全く騒がしい人たちですわ。 たまには静かにできないのですわ」
そうおれたちをみながらミリアはため息をついた。
「ええー!! リアベールの子孫が! それに剣も! どういうことですか!」
おれはセリエスに事情をはなし剣を渡した。
「そうでしたか...... 確かに剣には家の紋章の意匠があります」
そう手にした剣をもち、セリエスは目を伏せた。
「リアベールの子孫が魔王の復活を阻止していたってことか」
「......そういえば、王都の図書館にリアベールと魔王について記述した本があったはず......」
そうシェリガが思い出したようにいう。
「調べてみるか。 シェリガ、それで募集の件は?」
「結構きてるんだけど、やっぱりまともなやつは少ないわね。 どうする?」
「変なやつを雇って問題を起こせば、国から許可を撤回されかねんしな。 時間をかけてもまともなやつを選んでくれ」
「わかったわ」
「ラーク卿に報告するついでに図書館で調べるか...... もしかしたら他に復活してるやつがいるかもしれん。 情報をえて国に助けてもらわないと、あんなの個人で戦えんからな」
「ええーー 我、ここでゆっくりしたいー」
そう渋るディムリアとセリエスと共におれたちは王都にむかった。
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