第69話 やっとユリゲール国王城内の鑑定が終わった。

 文官さんたちは、いろいろと大変そうだけど、大丈夫だな。弁当を取り出して、保存容器の蓋を開ける。いきなりハグハグ食い始めた。


「ねえ、ルイト。私たちもおやつたべていい?」

「いいぞ。ネロも食え。クーリスも食えよ。これは毒なんか入ってないから」


 そういえば、ネロはウィズが用意してくれた器を床に置かれた台に乗せて待ってる。何を飲むんだと効かれて、ミルクと果実水だと答えてるんだ。それを聞いた侍従長は、すぐに用意してくれた。クーリスもパウンドケーキをハグハグ食べ始めた。当然、ルイトも食う。俺は、無言のまま弁当を食うんだけどな。

 

 二度目の弁当を二つ食い終わった時点で、騎士団長から連絡があった。

 

「行ってくるから」

「気をつけろ」

 

 それだけの言葉で理解できる。そしてウィズは笑顔で手を振っている。テーブルの上ではフーリも手を振ってるな。ネロは念話で伝えてくれたので、行きましょうか。


 スカイルとバルトスがついてくる。書類を手渡されたので、「それはルイトに」と言えば、侍従長が引き取りに来てくれた。


 そして写しを持って来てくれたのは、侍従の一人だ。ありがたくアイテムボックスに入れた。


 長い道のりを歩いて、やっと訓練場に到着する。



 ここで、鑑定だな。

 まず、馬番たちの鑑定だな。全く問題ない。下男も同じ。庭師もこれだけいるのか。すごいな。全く問題はない。

 どうやら利権絡みがないから、正直な者だけが残ってるようだ。


 他にも繕い物をする人、洗濯をする人、厩舎で馬の世話をする人、馬の訓練士もいた。様々な人たちに世話になっているんだなと改めて思った。だから比較的早く仕事に戻ってもらった。


 鍛冶仕事をする人間と引退したという魔法使いたちも綺麗なものだな。皆毎日を楽しんでる。それはいいことだと激励しておこう。



 さて。近衛との対決といきますか。

 ここからは一筋縄ではいかないな。今、ルイトの側にいるのは、騎士団長と近衛の中でまともだった一人だけだ。あとは結界のお世話になってる。


 じゃあ、近衛に前に出てもらおうか。

 副団長が叫ぶと、くだらん近衛どもが出てきた。


「ええと、君たちは貴族の子息たち? それとも独立してる貴族なのか?」


 そう聞いてみると、全員が貴族の子息だった。

 はぁ、とため息をついてしまったんだけど、ごめんな。

 

「なるほどね。副団長、この人たちは選抜なの? それとも貴族の圧力で決まったのかは」

「……後者でございます」

「わかった。じゃあ、君たちは使えないから。騎士団でも無理だと思うけど、試験を受けて合格すれば考えてもいい。どうする?」

「わ、我々は、尊き近衛として……」

「そんなのは必要ない。剣士は結局強くなけりゃ意味がない。そして忠誠心だよ。陛下を守るべき人間が近衛だと言うことを鼻にかけて城下で自由をするためじゃない。それとも俺と戦うか?」

「た、戦う!」

 

 あ、と声が聞こえたのは副団長かな。


 とりあえず、鑑定して印刷したよ。受け取ったのは、スカイルだね。


「じゃあ、戦おう。その長剣でいいよ。俺も長剣にする。俺はAランク冒険者ってことになってる。長剣だけで行こうか」

 

 中央を開けてもい、騎士は順番に並んでいる。全員でもいいけどな。


「面倒だから近衛は全員一緒にね。それで俺が怪我をすることがあっても気にしなくていい。じゃあ、どこからでもかかってきてくれ」

 

 ドワーフのおじさんが打ってくれたアダマンタイトの長剣を引き抜く。

 

「これは、近衛自らが望んだ戦いである。互いにどんな被害を受けようと不問に伏すものである! はじめ!」

 

 おお、副団長、かっこいいな。


 やーと駆けてくるんだけど、重いのか。すごく遅い。とりあえず、待つのはやめた。面倒だ。一気に駆け出して、騎士の一人に斬りかかる。だが切っちゃだめだろうから、軽くいなしておこうか。


 ガンガンガンととりあえずの打ち合いをしてみたが、全くダメだ。面倒だから全員の剣をたたき折ってみた。見事に全部折れた。


「そこまで! ルノ殿の勝ち!」


 ふむ。近衛たちはぽかんとしてるだけだな。


「さて、近衛諸君。王城に君たちの仕事はない。もっと鍛えた方がいい。弱すぎるからね。いいでしょ、副団長」

「了解しました」

 

 そう言った副団長は近衛たちに戻るように伝えた。



 さて、次に騎士団だ。とりあえず、ざっくり鑑定したところでは、大きな問題はなかった。しっかり鑑定しよう。


 ええと、半分くらいは貴族の子息たちだな。ええと、どうだろうか。まだ若いから悪はいないみたいだ。でも、これじゃ戦争が起きてもすぐに死ぬ。だめだろう、これでは。


「君たちは街の中であろうが、国境であろうが、配備されることがある。そこで生き残れるかどうかが問題になる。だから緊張を忘れないようにね。さて。腕に自信のある者は?」


 当然、騎士団員たちとの模擬戦をすることになった。騎士団長や副騎士団長は当然問題ない。小隊長たちも良い感じだ。

 騎士団員たちはそこそこと言うところか。貴族の子息たちは多少問題ありだが、概ね問題なかった。これからの訓練をきつく言い渡したのは間違いない。


 馬番、下男、庭師は完全に真っ白だ。綺麗なものだな。ただし、出入りの業者は問題大ありだ。豪商というやつらはふたつの商会があったが、どちらも却下だ。他にも、大商会という中に一つ、問題外の商会があったのは情けない。


 それ以外は、これからのことを誠心誠意、心を込めて取引してくれると約束してくれた。当然、再契約した。

 

 これくらいかな。

 王城全体を探索してみようか。

 うん、問題ないな。

 あの結界はどうするか。

 こいつらは戦犯だ。このまま殺して終わりと言うわけにはいかない。

 さて、どうするか。


『ルイト、今、どこにいる?』

『クーリスの部屋だ。この先の事を話してた。お前は終わったのか?』

『とりあえずは終わった。新しく商会と契約した書類はそろそろ届くと思う。あとは問題なく終わったと思うぞ。っていうか、王城に仕えるやつらは、平民の方が素直で人間的にもいいやつが多かった。それで、これからの行動なんだが。相談できないか』

『わかった。どこで話す?』

『応接室でもいいぞ』


 わかった、と俺は応接室へと向かった。そこにはルイト、ウィズ、ネロ、そしてクーリスもいた。


「それで、どうするんだこれから」

「それだよ。一度戻ってというか、国に話しをしないとダメだな。その時に、クーリス主導で彼の国も街を消滅させた訳じゃないということを話さないとだろう。当然魔法大国ユリゲール国が仕掛けた戦闘だけではない。だが、国民であったことには違いないんだよな。それなら国民の犯した罪に対しての謝罪金で終わらせてもらう。当然、悪の奴らは結界のまま連れて行く。俺の結界を解除すれば、同じ能力が復活するかもしれないが。国王に聞いて、いらないというならばその場で処分しよう。もし、活かして欲しいというならば、勇者の面倒なスキルは消滅させるつもりだ。まあ、ただの人だな」

「なるほどな。それでいいか、クーリス。そうでないと、お前の罪になりかねない。ただ、お前には俺たちがいる。そして、今は、多少なりともこの国の力になっていると思う。だから表向き反対はしないと思っているんだが、どうする?」

「それでいいのでしょうか。もちろん、謝罪金は用意します。どれくらいあればいいですか? 白金貨二十万枚くらいでどうでしょうか」

「まあ、それは一応だな。預かっては行くが、最初から出すことはない。この国には関係ないないことだからな。それでこの国に戦いを挑むならば、相手が開戦国になるだけだ。おそらくだが、王族を滅するのは簡単なことだ。宣戦布告するなら、受けてたつか?」

「あ、の。どうすればいいのでしょうか。できれば戦争はしたくありません。何より民が傷つきます。それは嫌です!」


 まあ、気持ちはわかるけどな。ただ、あの国の民も傷つけたくない。それは俺も同じだ。


「向かうのはいいんだが、その間、盗賊ギルドがどう動くか、だな」

「それはとりあえず見ててもらおうか。俺が王城に結界を張る。悪人は入れないように指定するから大丈夫だろう。どうだ?」

「それならウィズとネロ、フーリはここにいてもらおうか。でないと危険だ」

「うん、それがいいと思う。ネロでもウィズでも念話ができるし、気配察知は優れているからな。頼めるか、ウィズ、ネロ」

「わかった。ネロとしっかり気配を探るよ。でも、フーリの食事はどうしよう」

「俺が持ってる料理を渡すから。フーリは赤ちゃんだから食事は時間でなくていい。食べたいときに食べさせてくれるか。本来なら全員で行きたいが、クーリスを預けられる人材が見つかってない。お前らより優れている奴はいないだろう?」


 まあ、そうだよね、とウィズが微笑む。


 じゃあ、あの汚い結界をひとまとめにして向かおうか。二日前に宰相に連絡を入れてあるから、各地の貴族も集まってるだろう。


「じゃあ、ルイト頼むな」

「おう、任せろ」

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