第68話 魔法貴族家なんか意味がないな。
クーリスが笑顔で待ってたね。
「遅くなった」
「とんでもございません。御食事は終わられましたか?」
「とりあえずはな。で、魔法使いたちから始めるかな。人数が多いから文官さんからにしようか。じゃあ、文官さんたち、ここに順番に上がってくれるかな」
そう伝えて、一応並んでいる者たちを鑑定した。
悪人はいないみたいだけど、やる気のない人が多いな。仕事したくないのかな。
とりあえず、最初の一列並んでもらったので、そこで止める。ルイトたちはクーリスの側にいてもらうことにしたから大丈夫だ。
ええと、優秀な人たちを選ぶかな。
「あなた、あなた、君、そして君……
もちろん、先に選んでいた人たちは名簿にチェックを入れてるね。残りは部署の確認か。そうだよな、人もいろんなところで必要だから。
そう思いながら、最初の選択で残った人たちは、端っこにいってもらった。
次々と並ぶんだけど、これほどの人数が必要なのかな。でも、嫌になってる人たちは仕事もあまりしてないよね。それで回ってるなら必要ないでしょうよ。
「はい、そっちに集まってる文官さんたちは合格です。名簿のチェックは終わった?」
はい、と言ってくれたので、見せてもらうとどうやら優秀な人が上に立つという訳じゃないみたいだね。年齢でもないけど、どういうことかな。
ちょっと鑑定っと。
ああ、なるほどね。貴族の後押しがある人は上に行けるんだ。そういうことか。まあ、能力はあるんだから、国の考え方を変えないとね。
「じゃあ、文官さんたち。とりあえず戻って仕事をしてください。人事に関しては後で連絡しますので」
はい、と皆ささっと下がって行ったね。
残りの人たち、並んで~
ふうん、いろんな人がいるね。優秀な人もいるんだけど、どうして?
「ねえ、あなた。どうしてやる気がないの? とても優秀だと思うんだけど」
「……」
なるほど、言えないか、言いたくないかだね。
「ハッキリ言っていいよ。俺にはわかってるから。もったいないよ、優秀なのに。国には必要な文官さんの一人だね」
そういえばほろりと涙がこぼれたけど。
「あ、あの。本当によろしいのでしょうか。陛下はどうお考えでしょう」
「問題ない。ルノ様に聞いてもらうのだ。はっきり申してみよ」
「……承知しました。では、正直に話します。私がやる気をなくしたのは……」
話しによると、やはり貴族がからんでいた。この人は庶民からの一般募集で採用された人。それを貴族の後ろ盾があるやつ、貴族籍を持つ跡取り以外などの奴らに目を付けられた。能力が高かったから、仕事を押しつけられたんだ。それは全て上の奴らの仕事となり優遇される。そんな生活が嫌になった。でも、王宮を辞すればたちまち住むところもない。それでなんとか我慢していたと言うことだった。
「なるほどね。それは酷いよ。クーリス、事がハッキリするまで、この人は側で仕事をさせて。十分使えるから。今、そこにいる人も筆頭文官長らしいけど、貴族でしょ。さっきの話しを聞いてどう思う? そんな貴族位なら必要ないでしょ。貴族のあり方も考えないとダメだからね。受け入れてくれるかな。ダメなら俺が隣りに置く」
あはは、筆頭文官長は拳を握りしめて震えてるな。
「ルノ、そいつはお前の側におけ。仕事はいくらでもあるからな。あの水色の髪のやつもいいと思うぞ。あいつも平民出身だし」
「そうなのか。見てなかったよ。じゃあ、水色の髪の人もこっちに来てくれるかな。名前教えてよ」
水色髪の人はスカイルで項垂れてた人は、パルトスらしい。
おっけ。じゃあ、二人はここに立っててもらおうか。
「他に何か言いたい人はいる?」
二人を見たからだろうか、ハイハイと数人から手が上がる。
それは、パルトスに聞き取りを頼んだ。
文官の名簿はスカイルに渡すように伝えたので、持ってきてくれたよ。
さて、次だね。
料理人たちは、忙しいので一気にやりますよ。さっき入って来たのは見えてたから。
どうなんだろうね。
うん? すごくいいね。料理長は最高ランクだし、他の料理人も日々頑張ってるし腕もいい。すごいことだよ。
「クーリス、料理人たちは問題ないよ。自分たちが陛下に美味しい料理を食べてほしいと頑張ってくれてるんだ。ありがたいな」
「そうですか! 本当にありがたいです。皆、これからも私や職員たちのために頼む」
軽く頭を下げた国王に臣下の礼をしたけどね。
じゃあそのまま仕事に戻ってもらいましょうか。
そろそろ魔法使いか? いや、執事や侍従、侍女は忙しくなるから、今やっておこうかな。
執事長は当然問題ない。クーリスの回りにいる執事、侍従、侍女たちも全く問題なかった。
あとは、大勢いる侍従たちなんだけど……
あれ? すごいよね、これ。みんな国に対して、クーリスに対して忠誠を誓ってるんだ。ここまでとは思わなかったよ。驚いたね。
「この人たちは全く問題ない。国に忠誠を誓ってくれている。執事長も侍従長も侍女長も問題ない。当然、執事、侍従、侍女たちもきれいなものだよ。貴重な時間を取らせて申し訳ないね。じゃあ、戻って仕事してくれるか」
「承知しました」と全員がすぐに移動を始めた。これほどの人数が世話をするのか。すごいよ、本当に。
とりあえず、出入りの業者を呼んでもらうことにして、魔法使いの鑑定をしましょうか。
「魔法使いの一番上の人はだれなのかな?」
あはは、そこに転がってる公爵を指さしたね、全員が。
実働部隊は何をするのかと聞いてみれば、別れているらしい。結界を維持する部隊、街の道路や設備などを改修補修する部隊、他にも水道下水関係の工事に魔法で参加する部隊、王宮を修理修繕する部隊、そして最後に魔法師団という。戦争の時に全面に出て戦う部隊だって。
そういう人たちの武器や鎧なんかを修理するのは鍛冶師と魔法使いらしい。専門部署があるんだと聞いた。そこは、前線を引いた魔法使いたちも働いているんだって。怪我をしても、働ける人たちはそこで仕事をしてるって。
他にも魔導具の開発なんかも手がけてるらしい。
さすがだね、魔法大国。感心したよ。
でも、上がダメだ。
当然、宰相である公爵、そして三大貴族の中の一人、あとは貴族が名を連ねてるんだけど。
貴族たちを鑑定したけど、確かにすごい家はある。だけど、それを使って人を助ける訳じゃない。名門の魔法家という肩書きでやりたいことをやるだけだな。
「そこの人たち。そう、キラキラのローブを着てるおじさんたちだよ。何ができるの、魔法で。スキルは何がある?」
「なんだ、偉そうに。お主に話す必要はない」
「なるほどね。じゃあ、勝手に鑑定するよ」
何を! って隠れても無駄だろうよ。
<物質創成>
ひらりと一枚の紙が出てきたね。スカイルが受け取ったけど。
それらな、面倒だと次々とローブの奴らを鑑定して印刷した。それはルイトに届けられるんだけど。中には男爵だけど、すごい人もいた。国に対して忠誠を誓い、いつか役に立ちたいと魔法の鍛錬はかかさない。領民のために森に入り、騎士団と一緒に魔法で魔物を狩る。そして低価格で領民たちに販売するんだ。
この人はスタンプだな。
あ、できたよ、スタンプが。星マークだな。
次々とやってたら、魔法使いだけじゃなく、全ての貴族分、鑑定してしまった。もちろん、全て印刷したけど。
スカイルに言って、細かい仕事をしてくれている文官たちに、この貴族たちへ国が支払っている年間費用がどれくらいなのか、調べてもらうように頼んだ。ルイトの所にいけば、全てをコピーしてくれたから。
「すぐに」と請け負ってくれた。爵位で決まっているらしいけど、おそらくそれ以外にもあるはずだ。
「さて、さっきの魔法使い貴族の人。ルイト、どうだった?」
「笑うしかないぞ。名家っていうけど、過去の人がすごかっただけだ。王城の魔法使いたちの様なスキルもないし、なんで偉そうに貴族だってふんぞり返ってるのかわからないな」
「そういうことらしいよ。クーリス、魔法特化の貴族たちを、改めて判断しなおそうか。基準に達してない人は貴族じゃなくなるだけ。どう?」
「なるほど。それなら民たちの貴重な税が必要のないところに流れることは減りますね」
「だろうな。結局、ここにいる貴族全てを鑑定して、印刷した。あとで、検証しよう。ルイト、いいかな」
「おう、いいんじゃないか。無駄なことはしない方がいい。自分が鍛錬を怠った結果だ。それを逆恨みするなら、一族を滅する」
うわぁ、怖いよ、ルイト。
「本気だな、ルイト。俺もそれでいいと思う」
おう、と手を上げてくれたよ。じゃあ、後は外かな。
「騎士団長。今から外に行くから。騎士団は人数が多いから後にしてもらう。馬番、下男、庭師とか。王城で働く人を集めて」
承知しました、と騎士団長ではなく、副団長と外にいた騎士たちが駆けだしたね。
「ちょっと腹が減ったかな。何か食ってもいいか?」
「ああ、食えよ。お前、さっきもずっと話してたから弁当一個しか食ってないだろ。どこかで座るか」
「うーん、どうしようかな。ここでいいんじゃないかな。話しながら食えるし」
「まあ、別にいいけど。じゃあ、ここ座れよ」
ありがたいよ~
大きなテーブルが置いてあってふかふかの椅子があるから腰を下ろした。
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