第70話 アットンハイト国謁見の間で話をしよう!
「宰相殿。ルノだ。そろそろこちらを出ようと思うんだが、都合はどうだ?」
『うむ。問題ない。貴族たちも揃っておる。では、待っておるぞ、ルノ』
「ああ。謁見の間に直接転移するから攻撃するなよ」
『承知した。では、待っておる故』
じゃあ、行こうか。
勇者もどきと三大貴族をひとまとめにして、結界に入れる。そして、その場から俺とルイトは消えた。
<光転移魔法>
一瞬ふわりとした瞬間、謁見の間に降り立った。
「何者!」
そう叫ぶ近衛がいる。知らせていたのになんだよ、こいつら。
ルイトを肩に乗せたままゆっくりと絨毯の上に降り立った。
「初めまして、俺はルノ。宰相殿は?」
「私が宰相アルリオ・バイト・クリアロールである。こちらにおられるのがルルド・モイトル・アットンハイト国王陛下だ」
「我はルルドである。ルノ、であったか、此度は何やらいろいろあったようだが、詳細を聞こう」
「はい。この度の事を企てたのは、こいつらです」
そう言い、結界を放りだし、外側の結界を解除する。
「こいつらが、企てたやつらだ。こっちの派手な男女は勇者もどきだ。で、このきらびやかな服を身につけているのは、ユリゲール国の三大公爵たちだ。国に隠れて勇者召喚をしたが、その勇者は中途半端だった。男魔法使いは、地上の人や魔物などの生き物を消す事ができる。生命消滅能力のみ。女魔法使いは、地面に空洞を作りそれを移動することができる。自分は入れないし移動できない。空洞作成移動能力。二人とも、それ以外の魔法はお遊び程度しか使えない」
そういえば、国王と宰相は目を見開いている。
「その上、完全防御結界は滅することができない。空間も作れない、転移もできない。だけど、厄介な能力だから、俺の絶対防御結界を張っている。魔法も特殊能力も意味をなさないからな。どうするかはこの国の自由だよ。だって、こいつらは既にユリゲール国の人間じゃない。だけど、勇者もどきの能力は奪ってない。もし、使うことがあるなら、結界は解除してあげる。ちょっと汚いけどね。時間がたってるから糞尿まみれだ。どうする?」
あはは、黙っちゃったよ、国王も宰相も。
「そ、それで、ユリゲール国は我が国にどう謝罪をするのだ!」
「あんた誰?」
「私は公爵家当主、オルリックである。ユリゲール国の不始末であろう? ならば何か詫びを用意するのではないのか?」
「なぜ。俺はこの悪人に会う前に国王と話しをした。その時、国王はこんな人間は我が国の人間ではないといったぞ。だから、罪を明らかにする前に、こいつらは既に国民ではなかった。俺が個人的に確保したんだ。なのに、なぜ、ユリゲール国が詫びをするのか? おかしいだろうよ。だから国に悪人を引き渡すと言った。それも完全防御結界まで施してな。この国が使うなら、結界は解除してやる。他国に対して、同じ様に侵略すればいいだろうよ。それで十分だろ? じゃあ、解除するか。そうだ、俺とこの肩にいる精霊は絶対防御結界を張っているから問題ないぞ」
ぐぬぬ……と公爵は唇を噛んでるな。
「ならば、こやつらを開放して、あちらに攻撃を仕掛けてもいいということか?」
「自由にすればいいさ。だが、忘れるなよ、消される対象はあんたたちも含まれる。それにな、この勇者もどきの能力を大幅に減らして、他の魔法さえ使えないようにしたのは光神様だ。その事実は教えておいてやる。詳細に鑑定ができる者がいるなら試してみればいい。あと、俺とこの精霊がこいつらを引き連れてきた。ユリゲール国からの依頼じゃない。宰相との約束があったし、国王陛下とは会ったこともなかったからな」
『さて、公爵ごときがどう返事をするか、楽しみだな、ルイト』
『あはは、やっぱり楽しんでるな、お前は。答えを早く聞かせて欲しいものだな』
『本当だな。腹が減ったぞ、俺』
『食えばいいだろうよ。肉串でも食うか?』
『さすがにそれは無理だろうよ。冒険者はバカかと思われるだけだ。まあ、半分は当たってるけど、そうじゃない人もいるからな。それはそうと、領主は来てるのか?』
『うーん、俺もさっきから探してるんだけど、いないみたいだぞ』
「ところで、陛下。俺の住んでた街の領主は来てないようだが」
「うむ。向かっておるが間に合わぬと連絡があったようだ。本当に肝心な時に役に立たぬのだ」
あはは、国王に呆れられてるじゃないか、領主様。
「まあ、別にどうでもいいけどな。俺は領主に『国に戻れなくなるぞ』と脅されたんだよ。それは別にいいんだけど。でも、民のことなど気にせずに高ランク素材採取依頼を出して、金儲けばかりしている。高ランク冒険者を囲い込もうとする領主だからな。まあ、俺にはどうでもいいぞ。国王も俺の帰る場所がなくなると言ってたらしいな」
「そ、そんなことは申しておらぬぞ。彼奴が申しておっただけである。それで、この勇者もどきであるが、どうすればよいと思うか。意見を聞かせて欲しい」
「なんで俺? 公爵様に聞けばいいだろうよ。答えも出てないしな。別に俺はどっちでもいい。俺の知り合いに迷惑をかけるなら、王宮を殲滅するだけだ。どこの国に対しても同じこと。この国の貴族は最低だな。まあ、鑑定してないから全てとは言わないが」
「そ、それは……ということは、お前の知り合いに迷惑をかけるならば、我が国を滅ぼすということであるか?」
「違うよ。国は庶民が暮らしてるから殲滅なんかしない。だけど、王城を殲滅すると言っただけだ。まあ、優秀な人間は残すけどな」
「そ、それは! じ、事実なのか。そのような事が可能であるか」
「可能じゃないと言わないよ。多少魔法が使えるだけの人間がいくらいても仕方がないだろうよ。だから魔術師塔は殲滅対象だな。あとは悪と思われる貴族たちもいらない。そして王族はもっと必要ない。それが俺の考えさ」
「だ、だか。ユリゲール国には何もしなかったのであろう?」
何を言ってるんだ。
「必要なかったからな。国王は忠実だし、俺も楽しかった。当然、悪は処分したけど。国王が素直だったからな。それに民たちが楽しそうな王都だった。それが一番いいことだよ」
「な、なるほど。では、ちょっとみてみることはできるか?」
「陛下、甘いな。それは依頼か? ルノをタダで使えると思うな。本当にズルイ奴だ。こんな国はいらんだろう、それなら消してもいいと思うぞ、ルノ」
そうだった。こんな国は必要ないな。
「国王、それでいいよな。だって、依頼を受けてないんだし、俺は自由だろ?」
「ちょ、ちょっと待ってくれぬか。少し時間が欲しい。その間に、公爵の考えを聞いてくれぬか」
「じゃあ、話せと命令しなよ。そうでないと話さないと思うけど」
「そういうことであるか。では、公爵。お主が先ほど口にした内容であるが、答えを聞かせてもらおうか」
「……そ、それは。ルノ、殿が言われるとおりならば、知らぬままで良いのではないかと思われます、が……」
「ふむ。それはお主の考えだということであるな。ルノ殿、それでどうだろうか」
何を言ってんるだ、このおっさんは。
『ルノ、お前には関係ないことだ。はっきり言っていいぞ』
『うん、そうする。だって、俺に託されてもなぁ。この国の先行きには関係ないだろ。それに国民じゃないって言われたんだから』
そうだな、とルイトはニヤリと笑った。
「なあ、国王陛下。俺には関係ないだろ? だって、この国の民であることを拒否されたんだ。それに、最近わかった事だけど、俺はこの世界に存在しない種族の人間だ。だから、全く関係ない。領主様は俺に国王の言葉だと、『戻る場所はない』と言った。最後には捨て台詞を残して水晶板を切った。そんな領の孤児院で食うものもろくになく、働いてきた。訓練だと自分に言いきかせて回りの善人に助けてもらって大きくなった。俺はあの孤児院を何とかしたい。大人を嫌いな子供を増やしたくないんだ。王都で聞こうと思っていたけど、無理だろ。だから他国で商人ギルドに登録するよ。ただ、俺によくしてくれた商人たち、ギルド職員達、職人たちに危害を加えるなら、王族は全て潰す。貴族も同罪だ。それは知っておいてくれ」
ハッキリ言ってやったぞ。少しすっきりした。
クーリスの国で登録してもいいと思ってる。ただ、冒険者は自由だから、先発討伐の依頼や護衛依頼はロッカギルドで引き受けることもできるから。
「そ、それは少し待ってくれぬか、ルノ殿。我が国は、其方のことは貴重な民であるのだ。少々陛下と相談させて欲しい。どのように対応するか、決定しよう」
「なるほどな。まあ、ルノを利用しようなどとは思わないことだ。そうでないと、王族はこの国からいなくなるぞ。そして貴族ども、後日、ルノや俺、そして眷属達に対して危害を加えた場合、国民以外はいなくなる。それは覚えておけ」
あはは、ルイトもキレてるな。
「まあ、とりあえず、返事を待ってやるよ。で、こいつらはそっちで処分してくれるか」
「いいいい、いいえ! それは無理です。その結界は解除できません。そのまま処分する方法はないのでしょうか」
宰相の話し方が代わったな。
でも、この国の貴族、王族、魔法使いを鑑定してからにするか。
そのまま伝えてみれば、「依頼する!」と言った。それなら、魔法使いを集めてもらうか。
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