最終話 挙式
橋田ゆかりの不凍液の事件後、俺達は普通に会社に勤め仕事をこなしてそれから2年が経過した。
俺は付き合っていた香織と結婚する事になった。
忙しなく日が過ぎたがまあ婚約出来て良かったとは思う。
「達也さん」
「?...どうした?」
愛を誓い合った結婚式の後。
俺達は結婚式を挙げた結婚式場のホテルの窓から外を見ながら話していた。
香織は柔和な顔をしながら「私、ここまで来れて良かったです」と笑みを浮かべた。
その姿に俺は「そうか」と返事をする。
香織はゆっくり寄り添って来る。
それから香織は手を握り合う。
「...香織。今までありがとうな」
「はい。達也さんの傍で支えられて私は幸せです」
「...ああ」
それから俺は目を閉じる香織を見る。
香織は笑顔になりながら擦り寄って来た。
俺は苦笑しながら髪の毛に触れる。
それから滑らかな髪の毛をすく。
「ちょい。イチャイチャしてる所悪いんだけど」
「おー。由香」
「うん。イチャイチャしてる所悪いんだけどさ」
由香は変わらない感じで俺達を見る。
それから苦笑した。
俺はその顔に「写真撮影か?」と聞く。
すると「そうだよ。呼んでるのに」と怒る由香。
俺は「すまんって」と謝る。
「全く。しっかりして。新郎さん」
「ああ」
それから俺は香織を見る。
香織は柔和な顔で立ち上がる。
そして「行きましょうか」と言ってくる。
俺は「ああ」と返事をした。
そうしてから俺達はホテルの中庭に向かう。
☆
「お前どこ行ってたんだよ」
「すまんて。佐藤」
会社の同僚達に謝って佐藤に謝る。
それから苦笑した。
そうしてから集合していると「どこ行ってたの」と橋田ゆかりの声がした。
俺は顔を上げる。
「ああ。ちょっと席を外してた」
「しっかりして。貴方は新郎でしょう」
「...まあな」
「もう」
それから俺は橋田ゆかりを見る。
結論から言って橋田ゆかりが不凍液を飲まされた後。
俺達は対話を続けた。
その結果、橋田ゆかりとはなんとなくだが仲を取り返した。
ある意味不凍液を飲まされた事が幸いしたらしい。
「橋田」
「なに」
「来てくれて感謝だ」
「...私が感謝すべきだとは思う」
「いや。来てくれた事は俺が感謝すべきだ。ありがとうな」
それから俺は橋田を見る。
橋田は「フッ」と言いながら「...おめでとう」とだけ告げてから去った。
俺は苦笑いを浮かべつつ居ると「変わらないね。橋田」と由香が言ってきた。
俺は「なんも変わらないのが奴だからな」と橋田を見る。
由香は俺を見てから「良かったの?これで」と聞いてくる。
「ああ。...橋田を呼ぶつもりは無かったが」
「...そっか」
「だけど奴も呼ばないとなんだか...まあ...あれだ」
「思う所があったんだね」
「そうだな」
俺は他の奴と会話をしている橋田を見る。
それから少しだけ笑みを浮かべてから居ると「はい。じゃあ撮りますのでご集合ください」と声が聞こえた。
俺は由香を見る。
「だってさ」
「だね。行こうか」
そして俺達は集合してから並ぶ。
それから写真を撮った。
そんな集合写真を撮ってから俺達はホテルのお酒を飲む場所に来た。
☆
「正直」
「...ああ」
「私は貴方に呼ばれるとは思わなかった」
「だろうな。俺もお前を呼ぶつもりなかった」
俺達は宴会の如く2次会をする。
それからお酒を飲んでいると...橋田がやって来た。
それで話をしていた。
「お前がこの2年間頑張った分だろうな」
「私は裏切っただけ」
「...まあそうだが」
「私は良い人じゃない」
「...」
「不凍液を飲まされるぐらいだし」と話す橋田。
俺は「...」となりつつグラスを揺らした。
それから背後の奴らを見る。
そうしていると「結婚するとは思わなかったしね」と橋田が呟いた。
「...」
「私は...反省して生きるというよりかは...反省を見つけて生きている様なもの。...まだ私は貴方を裏切る可能性もある」
「それは無い」
その言葉に目を動かす橋田。
「それはどうしてそう言えるの」と聞いてくる。
俺は天井を見上げた。
それから「この2年間見てきた結果だ」と言う。
橋田は「根拠がないね」と話した。
「じゃあ聞くがお前は浮気する力はあるのか」
「無い。...もう無いよ」
「だったら大丈夫だろう」
「それだけで安心するの?」
「それでイエスって答えたら流石に困るけど」
俺は酒を飲んでからグラスを置く。
それから俺は笑みを浮かべる。
橋田は表情を変えずに俺を見ていた。
そして「変な人」と言った。
「でもそこが貴方の良い点でもあるのかもね」
「そうだな。...俺としてはそう思う」
「...」
それから俺はグラスを見てから俺は佐藤達を見る。
佐藤達はカラオケで歌を歌っていた。
やれやれだな。
思いながら俺は声をかけようとした時。
橋田が声をかけてきた。
「達也」
「...なんだ?」
「私がしてきた事、これから先も償うから」
「...」
「そのつもりで今は生きている」
「...ああ。そうだな」
「ありがとう」
橋田は俺に笑みを浮かべた。
俺は佐藤からマイクを受け取る。
それから「んじゃまあ一曲」と言ってから歌い始めた。
手拍子が聞こえた。
fin
嫁との関係性が嫁の浮気で最悪になったので歩いていると通り魔に襲われそうになっている女子大生が居て... 楽(がく) @tanakasaburou
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