第24話 廃ビル(ユキ視点)
「へへ……。ここなら誰もやってこないぜ……」
悪漢どもに無理矢理引っ張られて、私は怪しげな廃ビルに連れ込まれてしまった。内部にはほとんど物がなく、照明もつかない殺風景な空間だった。
当然ながら人気はまったくない。この部屋だけでなく、建物全体が無人のまま放置されているのだろう。
犯罪のための場所として利用されているようだと、私は理解した。
「こんな美人相手にすんのは初めてだなあ。今からいきり立ってくるぜ」
私の服装はユニセックスなものだったが、彼ら三人は女だと視認したうえで目をつけたようだった。
(こんなやつらでも女だって気づくのに、タケルの鈍感野郎……)
声を低くしていれば気づかれないかなとも思っていたが、まったく通用しなかった。見た目の特徴などでバレバレだったらしい。
「こういうの、王子様系女子ってんだろ? 前からやってみてえと思ってたんだよなあ……」
一人の男に顔を近づけられて、私はひっと小さく悲鳴を上げた。
「でけえおっぱい。これで王子様は無理があんだろ」
「俺たちがお姫様にしてやるからよ」
ほか二人も、口の端を歪めながら近づいてくる。私にはまるで獣のように見えていて、誰が誰かの区別なんてつかなかった。
「そっちの腕持ってろ。まずはシャツのボタンを……」
両側から腕を掴まれて、身体の自由を奪われる。いやいやと暴れたが、大人の男性相手ではまるで歯が立たなかった。
シャツの前を開かれて、ブラジャーに収まった胸が見えてしまった。
「こりゃあ……。服の上からでもでけえと思ったが、じかに見ると想像以上だな……」
あらわになった私の白い肌を、男たちは食い入るようにして覗き込んでいる。彼らの興奮がむらむらと高まっていくのを感じた。
(い、嫌……!)
私は涙目になって震える。しかしそういった反応が、かえって彼らの情欲を刺激したようだった。
「ひひ、堪らんねえその表情」
「脱がし甲斐があるってもんだ」
「おい、下も剥いちまおうぜ」
その辺にあった机の上に私をのっけると、腕を拘束したままズボンに手をかけようとする。私は必死にもがいたが、やはり力では男に敵わなかった。
「活きがいいねえ~。もしかするとまだ高校生だったか?」
「最近のガキは発育がいいな」
「俺らによ~く見せてくれよ」
ずるっとズボンを下ろされて、下も下着だけの姿になってしまう。面積の少ない布だけが、私の秘部を頼りなく覆っていた。
「おお~っ! うす暗いのに輝いて見えるぜ」
「なんだ、王子様のくせにかわいいパンツ穿いてんじゃねえか」
今日は中性的なファッションで固めてきた私だったが、下着だけはかわいい路線のものを選んでおいた。
(だって……。せっかくのタケルとのデートだったんだもん……)
似合わないと評されたスカートは穿けなかったが、せめて見えない中だけでもと、女の子らしい格好をしておいたのだ。
(こんなやつらに見せるために穿いてきたんじゃない……!)
女だって見てほしいのは、私にとってはただ一人だけ――。
(――助けて、タケル……)
忘れたくても忘れられない好きな人の名を、私は心の中で叫んだ。
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犯罪行為を助長する作品ではありません。不快に思われた方がいらっしゃったら申し訳ありませんでした。
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