第4話:侍女クララとの対話

翌朝、ミレーヌの身の回りの世話をしている侍女のクララが、心配そうに声をかけてきた。

「お嬢様、昨夜はよく眠れませんでしたね」

クララは年齢こそミレーヌより三つ上だが、幼い頃から共に育った姉のような存在だった。

「クララ、あなたは私の薬草学への情熱を馬鹿げたことだと思う?」

「とんでもございません」クララは即座に答えた。「お嬢様が薬草について話される時の輝いた表情を見ていると、それがお嬢様の本当にやりたいことだと分かります」

「でも、父上は...」

「公爵様は、お嬢様のことを愛しているからこそ、世間一般の『幸せ』な人生を歩ませたいと思っていらっしゃるのです。でも、お嬢様にとっての本当の幸せが何かは、お嬢様自身が決めることです」

クララの言葉に、ミレーヌの心に小さな光が差した。

「私、もう一度父上と話してみる」

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