第14話:裂けた絆、隠された真実

雨が静かに降り始めた午後、城の庭園は薄い霧に包まれていた。

滴る雨音が、しんとした空気を破り、心の奥に響くようだった。


リディアと私は、かつてないほどに近づいたはずだった。

だが、その距離は不思議とまた遠く感じられる。


「ミレーヌ……」

リディアの声が震えている。彼女の目は、真実を求めるほどに鋭く、そしてどこか怯えていた。


「リディア、私たちは本当に同じ気持ちなの?」

私は素直に聞いた。


その質問にリディアは言葉を探し、やがて静かに語り始めた。


「私……セレスト様を愛している。

でも、それだけじゃないの。

彼を想う気持ちは、時に私自身をも苦しめるの」


彼女の言葉はまるで胸の奥に刺さる刃のようだった。


「私たちは、彼のために争うべきじゃない。

だけど、このままじゃ誰も幸せになれない」


雨粒が窓ガラスを伝い落ちる。

その様子は、まるで私たちのもろく裂けそうな絆を映し出しているようだった。


「ミレーヌ、私たちには隠さなければならない秘密があると思うの」

リディアの声に、私は強い決意を感じた。


「それは……?」


「彼の心の奥底に、誰にも言えない痛みがある。

だからこそ、私たちは彼を理解しなければならない」


私は胸の中で何かが崩れるのを感じた。

ずっと見えなかった真実の断片が、雨のように降り注いできた。


「リディア、私も彼を救いたい。

彼の孤独を、私たちで分かち合いたい」


ふたりの視線が重なった。

その瞬間、言葉以上の理解が生まれた。


けれど、これから先に待つ道は決して平坦ではない。

彼の心を知ることは、同時に自分自身を壊すことかもしれない。


庭園の花びらが雨に打たれて散るように、私たちの心もまた揺れていた。


暗い雲の合間から、ひとすじの光が差し込む。


それは、希望なのか、それとも……絶望の前触れなのか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る