第2話 東の高い山

 まだ大伸ばしプリントができるような高性能なデジタルカメラが発売される前、まだフイルムカメラが全盛期な頃のお話です。


 私を含め写真仲間たちは、ほぼ全員が風景写真を撮影しに出かける時には、ポジフイルム(リバーサルフイルム)を使っていたのですよ。


 ポジフイルムは『ラティチュードが狭い』ため、一般的には『ネガフイルム』よりも適正露出がとてもシビアで使いにくいとされていますが、露出オーバーやアンダーに対して白とびや黒つぶれを起こしやすいが、メリハリのあるコントラストが高い風景写真となるので、気に入っていて常用しているのです。


 発想を変えれば、『ポジフイルム』は少し取り扱いが難しいので、写真撮影時に露出等をしっかり確認するようになり、『ネガフイルム』を使う時よりも撮影の失敗しないようしっかり努力するのですから、写真撮影の技術は向上するのですよ。


 昼の休憩時間には写真仲間たちが集まって、そんな写真談議・カメラ談義に花を咲かせています。


 写真仲間の一人が言うには「東の高い山の麓にある村の畑に沢山向日葵が植わっていて、今が丁度満開で見頃だよ~今週末にでも夜駆けで向日葵の撮影に行こうか」とのこと。


 今週末に都合がつくのは5人、5人乗車だと私のコンパクトカーでは狭い、カメラ機材を積むスペースが足りないので、大きなRV車に乗っている人に車を出してもらうことに。


 大きなRV車はかなり燃費が悪いから旅費が高くなるが、割り勘なのでそんなには負担増にはならないだろうと、皆の撮影機材が凄く多いのだから、こればかりは仕方がないと諦めてもらう。


 「人数が多いからランクルにする?それともハイエースにする?」「週末、晴れたらイイね~」「今回の会計は誰にする?」「出発時間は何時が好いかな~走行時間を考えると24時頃かな?」などと話しながら、撮影旅行の計画を練ります。



 そして、金曜の夜中24時少し前に集合し、早朝に到着できるよう夜駆けで東の高い山の麓に向かい、畑一面の向日葵の写真を写すべく、ハイエースに乗って写真仲間5人で山間の村を訪れました。


 到着した山間の村の休耕田には、辺り一面ずら~っと向日葵が咲き誇っています。


 休耕田を上手く活用して、観光客を何とか誘致できないかと考えた一案が、向日葵だったようですね。


 不思議なもので、向日葵はほぼ全部の花が、同じ方向を向いて咲くのですよ。


 だから、向日葵はとても撮影がし易い。


 早速、向日葵の撮影をするため、写真仲間たちはカメラの入ったバックと三脚と脚立を持って、思い思いの撮影場所に散って行きます。


 まだ朝早いためか、向日葵を観に訪れる観光客も少なく、あまり周囲に気を遣わずに撮影が出来そうで嬉しい。


 それぞれ気に入った撮影場所を見つけた写真仲間たちが、三脚にカメラをセットして撮影を始めます。


 脚立を持ってこなかった写真仲間は、アルミのカメラバックの上に乗って撮影したりしていましたよ。


 私も背景に薄っすらと見えている高い山を入れ、沢山咲いている向日葵とのバランスを考えて構図を決めます。


 そして、輝く満面の笑顔のような満開の向日葵と背景となる高い山で、夏らしい素敵な風景写真が写せましたから、こちらもニコニコ😊ですよ。


 その後も写真仲間たちとお互いのカメラのファインダーを覗いたり、撮影データの情報交換をしつつ、楽しく休耕田に咲く向日葵の風景写真を写して回りました。


 無事に向日葵の撮影を終了すると、「天気が良くて風も無くて今日は最高の撮影日和だったね~」「向日葵綺麗だったね~」「現像結果が楽しみだね~」「来年も訪れたいね~」などと楽しく会話しつつの食事をして、帰途につきました。




追伸


 この時に写した向日葵の風景写真は、今年の暑中見舞いの挨拶に利用しました。



https://kakuyomu.jp/users/ALICE1961/news/16818792436971999720

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