25曲目 夜が崩れる
タイトル:いかないで
歌:歌愛ユキ
作詞・作曲:想太
URL:https://www.youtube.com/results?search_query=%E3%81%84%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A7
初聴:中3
蓬葉No:284
蓬葉階級:4つ星/6つ星
夏祭り、和風曲。テンポは速めです。
かつて、この曲の解釈をしたことがあります
https://kakuyomu.jp/works/16817139557488932809/episodes/16817330656683498819
この曲には、大きく離別説と死亡説があります。私としては、一瞬の再会と別れを惜しむ男の子、という離別説を推します。それは、上述の解釈でも述べている通り、次の理由からです。
①女の子と影がないように見えるが、光源を考えると不自然さがないため
②「色っぽく見える」という、死者に使うにはあまりに生き生きとした表現があるため。
1曲目で紹介した青木月光「夢と葉桜」は、夏の蒸し暑い堰堤を歩くような印象を抱かせます。
一方、この曲では祭りの終わり、ひたひた忍び寄る別れの時を想いながら、田舎の、街灯の点々とした道を少し距離をあけながら歩く二人の姿を想像させられます。
【️なんでもないと口をつぐんだ】
彼は何を言いたかったのでしょう。
言うまでもないことでしょう。
「きみ」は早足でゆきます。終電が近いのでしょう。遠くへ帰ります。
サビは二段構えです。
後半に入ると祭囃子の笛のような音が加わります。
さらに、曲全体を通して、時折キラキラ光るような音が流れます。
思い出すのは「東方永夜抄」の「ヴォヤージュ1970」や「月まで届け、不死の煙」です。幻想的な雰囲気にぴったりな音です。この曲においても、二人の再会を幻想的に包むのに一役買っています。
この曲には余白が多く、想像の余地がたくさん残されています。
たとえば、この二人はどのような関係なのか。
年の離れた幼馴染でしょうか。あるいは、先輩と後輩でしょうか。もしかしたら、きょうだいかもしれません。間違いないのは、少なくとも男の子は女の子のことを想っているということ。
「夜が崩れる」という表現は、とても素敵です。
「崩れる」という言葉は、完璧なもの、美しいものが、その本来性を失ったときに使われる言葉です。つまり、男の子にとってはこの「夜」こそがひとつの理想なのです。それが崩れていく。
祭りのあとという情景設定も巧みです。「ハレ」は崩れ、「ケ」に戻っていく。歌詞にも「変わらぬ夜が来る」とあります。夢は否応なく覚める。
今回これを書くにあたって、この曲のオフボーカルも聴きました。
じつにたくさんの楽器が使われているのがわかります。
そして、最後には笛の音が二重になります。
サビの旋律の上に、かなりハイテンポな旋律が重なります。
それが、さみしい、けれどたった一つしかなかった結末の、エンドロールのように聴こえて、なお悲しくなります。
この曲を聴いたのは中学3年生の初夏です。当時はボカロ全盛期。kemuが「敗北の少年」で有一区切りをうち、40㍍PやジミーサムPが後に続くような状況でした。ナブナ、Orangestar両名の時代はもう少し後になります。
想太さんは、この曲の他に「またあした」、「はるのよに」、「さようなら」、「さいたさいた」などが私の音楽史の中にあります。やさしいさみしさを含む曲調が特徴的です。曲構成も、Aメロ→サビ→間奏→Aメロを繰り返すのを基本構成としています。
「いかないで」が有名ですが、もしも「いかないで」になにかを感じたなら、上記の曲にも何かを感じるでしょう。
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