24曲目 バンドしたい
タイトル:Sugar Guitar
歌:闇音レンリ
作詞・作曲:ポリスピカデリー
URL:https://www.youtube.com/watch?v=9I7xKO2ijm0
初聴:大学1年
蓬葉No:1050
蓬葉階級:4つ星/6つ星
エレキギターの音なのでしょうか。
冒頭から心を震わような音が響きます。タイトルと同時に、映し出される静止画。
そこに映る四人は、なんと楽しそうなことでしょうか。
この曲を聴いたとき私はすでに大学生になっていました。部活時代は遠ざかり、青春ももう遠くになっていたころです。そもそも、私に青春なんてあったかは疑問ですが。
さてこの曲は、どんな曲なのでしょう。
私としては、いくつかの解釈をしています。
ひとつはギター目線の曲として。
もうひとつはバンドメンバー目線の曲として。
部活には終わりが来ます。
皆さんはどんな部活を過ごしたでしょう。
部活に入っていなかったという方もいるでしょうが、何らかのコミュニティに属していたという方は多いでしょう。
そのときに戻りたいとおもうでしょうか。
私はNOというでしょう。
高校時代の部活は、残念ながら戻りたいと思えるような部活ではありません。横行するパワハラ、人間関係、不条理、旧時代の残滓……。ナチス・ドイツや戦争に向かう日本についての本を私はよく読みます。たぶんこういう風にして、人間は「普通のまま狂っていく」のだろうと思います。私もみんなも先輩も先生も、等しくみんなが狂っていたと思います。そして、この時期があったからこそ自分が今ここにいるというのも、やるせないです。
孤独のグルメの五郎さんよろしく、一人だけれど自由気ままに過ごせた大学時代。忙しく、責任も大きいけれど、やりがいのある仕事に就いた現在。それに比べて、高校時代、特に初期はかなり精神的にきつく、実はあまり思い出したくありません。まあ地獄を味わったことで今が少し楽に感じるというのは不幸中の幸いですかね。
それより前、中学校時代はどうか。
こちらは、年々記憶が薄れていきます。なのでなんとも言えませんが、たった4人しかいなかった部活は、小さなトラブルや事件はありつつも、そこそこに楽しかったと思います。私たちの代で廃部という悲しい最後でしたが……。
なので、そもそも時間を巻き戻したくない。もしも戻るなら中学時代から、でしょうか。そして、入る部活、入る高校を変えるかもしれません。ただし、そうなると今がなくなるのですね……。悩ましい。
それはともかく、ではこの曲の子たちはどうか。
間違いなく、戻りたいと考えるでしょう。
この子たちにとっての「部活」は宝石のように輝いているでしょう。
というより、彼女たちはまだ振り返る領域にいません。
【リストの最後に載ってた厄介事】(1番Aメロ)
歌いだしのこの歌詞は、進路希望調査のことを表しているのではないかと思います。
【遠い未来の話でもない】(1番Aメロ)
つまり、青春の終わりは、目の前にある。
【手を下すのはあなたの方 邪魔したりしない】(1番Aメロ)
私がこの曲をギター目線と感じたのはここと次の部分です。
【破壊して意のままに】(1番Bメロ)
これからもギターである「私」を弾き続けるか否かはあなた次第。だからそれを邪魔したりはしない。「私」はあなたの望みに従うのみ。サビに次のようにあります。
【仰せのままに愛しい君よ】(1番サビ)
しかし、同時にこれはすごく近い人、つまりメンバー目線から見た曲なのではないかとも感じます。その理由は2番の歌詞です。
【斜め上の展開だって期待はしてる】
1番サビに【期待してることは何?】とあります。この部分に対する回答と見てもいいでしょう。これについてはギター説でも成り立ちます。
問題はサビ。
【無駄に近い距離感が尚更に遠く感じさせる】
ここまではギターだと思いました。
【抱えてるシュガーギター 音は風に混ざって消える】
しかし、ここでふいに「ギター」を外から見る歌詞が登場します。
もし「私」がギターだとするなら、このような俯瞰的視点が登場するのか、疑問です。そこで、私は長年抱いてきた「ギター説」に加え、「メンバー説」という、ある意味まっとうな解釈をもつにいたりました。
みなさんは、どう感じますでしょうか。
サビには次のような歌詞があります。
【️今以上求めて のぼせ上がってハッピーエンド】
のぼせ上がるとは、なにかに熱中して周りが見えなくなること。
部活そのものを表す動詞としてこれ以上のものはないかもしれません。
私がこれを聴いたのは大学1年生。「負け犬にアンコールはいらない」からはじまった最初のヨルシカ時代が幕を開けた頃です。かつて紹介した「レイトショーを観にいきませんか」とほぼ同じ時期ですね。
もう青春はとおりすぎた。
間違った青春をすごしたような気がして、胸がすーんと苦しくなったのを思い出します。
「のぼせ上がる」ような青春。
私もどこか、憧れていたのかもしれません。
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