戦死者に対する、哀悼の短歌集でしょう。特に、ヒロシマの原爆の歌は、改めて心に染みました。今なお、世界では紛争が絶えません。作者の静かな反戦歌が、読者の心に、魂に鳴り響くことでしょう。特に優れた短歌1首。砲撃の 音が彼方に 響く朝乾いた瞳に けぶる硝煙
恋の歌は、軽やかな歌ばかりではないと思うのです。ただ、この恋の歌はあまりにも重くけれど、目をそらしてはいけないテーマだとも思うのです。もうすぐ8月15日が来ますそのことも思いながら大人になりたかった恋人同士のことも思いながらその日を迎えようと思います。
戦争の悲惨さを直接叫ぶのではなく、静かに見送る心と、その奥にある喪失と郷愁。その静けさがかえって、強烈な感情の波として胸に迫ってきます。美しい、そして痛ましい、しかし、忘れてはいけない、大切な記憶の詩です。