第2話 出会い1 かほさん38歳
垢を登録したら、ろくにプロフィールを入れてもいないうちから、バンバン連絡が来出した。
なんじゃそれ?
流石にそういうのは悪質な業者からのだろうという想像はついた。
結構怖いなと思いながら、俺は、ちょっとエッチ目的を匂わせながらも爽やかオジのポジションを演出するようなプロフィールに仕上げた。
その後、いくつか連絡がきた中で、かほさんと言う女性が目に留まった。
かほさんは38歳と言う年齢の割にプロフィール画像は綺麗と言うか、少し可愛らしい表情をした方だった。身長は154cmと小柄ながらも服の上からでも胸元が豊なのがわかる。しかも独身なので変なリスクは無いのがいい。
ただ着ている服や写真の背景が今のシーズンのものでは無いのがちょっと気になった。
登録は最近の様だが、登録用の写真には余り頓着しないタイプなのだろう。
あと38歳と言うのが絶妙だった。
二十代の娘がこんなおじさんなんか相手にするはずもないのは自覚してる。若い子に目が行かない訳はないのだが、これくらいの方が丁度いいし、間違いもないだろう。それに写真は結構好みだし、ふくよかな胸元も気になる。
ちょっと年齢より若い頃の写真を使ってるかもなどと思いながらも、メッセージに返信した。
そしたら拍子抜けするくらいあっさりと返信が来た。正直、冷やかしもあるだろうから簡単には来ないだろうと思っていた。
「日頃のストレス発散が目的で、大人の関係でお付き合いできる方を探しています。そういう関係で良ければお願いします。」
かほさんのお仕事は、介護関係で相当ストレスが溜まっているのだそうだ。
なんと!こんな人と仲良くなりたかった。
バッチリだ。
畳み掛けるように
「ストレスと一緒に溜まってるものをホテルで発散させてください。」
ストレートだなぁ!(笑)
ここはパラダイスか!
気分は思いきり舞い上がりまくりな俺であった。
「条件は2でお願いします」
成程、そう言う事ね!今の人はそこそこのベテランさんでも大人の出会いにはチャッカリお小遣いを言って来るのか。
ホテル代もこっち持ちとしたら、結構な出費だな!
下手なソープよりお高い。
まぁ休憩2時間、ねっとり楽しませて貰えれば、それよりお得かな。
普段、熟女ソープには行かないんだけど、物は試しだ!
素人女性なら少しベテランさんでも可愛い反応してくれるかもだし。
こんな事を考えながら、OKと返事した。
‥
余り間を置かず、「いつ会える?」と連絡が来た。
「直近の私の都合は○○日の✖️✖️時と〜」
みたいな感じで、候補日が何点か書かれていた。
いゃあ、積極的だ。
ニヤニヤが止まらない。
頂いた候補日から直近の金曜日の19時を選択した。
程なく、待ち合わせ場所の連絡が届いた。
'京成上野駅から程近いカニ道楽の前'だそうだ。
わかりやすくてホテルにも近いのがいいらしい。
やる気満々のど直球をバンバン投げ込んで来る。
楽でいいや。
その後、
(俺)プレーはどんなのが好き?
(かほさん)アブノーマルなのでなければOK!
(俺)いやアブノーマルなのはこちらが NG
みたいなやり取りをして盛り上がった。
少し置いて、ずっと気になってた話を切り出す事にした。
そう、お金の話だ。
ホテル代はまぁ男の甲斐性として出すのはいい。
でも、お互い、発散して楽しみたいのであれば
2万円は高いのでは?
と言う思いがあった。
相手も楽しみにしてくれているのであれば、
このタイミングで聞いてみるのはありかな
と思い、聞いてみた。
「改めてちょっと相談なんだけど、
条件って、ホテル代はこちらでもつんだから
1とかってダメなの?」
…………………
1日待っても返事は来なかった。
あれ?
あれだけまめにやり取りしてたのにどうしたのだろう?
気になって、メッセージを見に行ったら、アカウントが見当たらない。
???一体何が起きた?
お気に入りをみたらアカウントがあったので、タップしたら…表示できません!
お相手が退会したか、お断りにされた可能性があります。と表示された。
俺は、事の次第をようやく理解した。
ようはブロックされたのだ。
条件の交渉を持ち出したのが地雷を踏んだと言うことか。
そんなバカな!そんな事で?
「一撃でそこまで切れるとかあり得んだろ」と言う思いもあったが、ようやく、この世界のしきたりが少しわかって来た。
済んだことはもうしょうがない。
まだ他にも一杯引き合いはあるし、次だ次と、後ろ髪を引かれる思いをすっぱり諦める事にした。
「世知辛いなぁ、今時の男女の出会いってこんなドライなものか。」
思わず悲嘆に暮れた独り言が口をついて出た。
でも、よく考えてみろ、相手は昨日今日お相手を求めてこのアプリを利用してきた様な方じゃ無いんじゃないか。舞い上がってないで少し冷静になれよ俺!
とんとん拍子に進む話には裏があるのだ。初めての出会いは、出会うこともなく終わった。
東大路一郎45歳
青天の霹靂のもと、
今日も侘しくひとり布団に包まるのだった。
…俺はこの時はまだ、この世界の本当の恐ろしさに気づいてなかった。
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