第9話切れたミサンガと再度の転生

あれ……

ここは、

王城の借りている部屋か。

隣では、騎士団長が椅子に座って、ウトウトしている。

どうやらアネモイ=ヘジテイトが出ていった後に、倒れたみたいだった。


あれ……

身体が動かない。

起き上がろうとするが、身体が動いてくれない。


騎士団長が目を覚ます。

「あっ、マリー殿。だいじょうぶでしゅか」


「あっ。噛んだ」


二人は思わず、クスっと笑った。


「あれから、どれくらい時間が経ちました」


「3時間ほどです」


グーッ

ヤバッ、お腹すいた。


「お食事をもらってきます」

と騎士団長。


「ちょっと待って……」

と私は、騎士団長の手を取った。


その瞬間


赤い紐がスーッと切れて落ちた。


あ、この感覚……なにかが終わる。そんな気がした。


――――――

どこかで怒鳴り声が聞こえる。


……誰?ここは、どこ?


「だから。

これは明確な違反だ」


「いえ。孫は死んではいない。

この転生は誤判定だ。

だから返してもらう」


これは祖母の声?


「なんだ。

あの女……

だから紐は外せと言っていたのに」


「こうなることは、

はじめから、

見えてたさ」


「タダでは済まさんぞ」


これはあの神さま?


「はいはい」


――――

急に場面が変わった。

見慣れた風景。


これは崎守神社……。


えっなに……。


ご神体の鏡がぶるぶると震えている。


次の瞬間

バーンッという大きな音と共に、

鏡がバラバラに割れてしまった。



ご神体が……

ヤバくない…これ、

と思っていると、祖母が来た。


「こっちに来たのかい」

そう話しかけてくる。


「えっ。おばあちゃん、

私今どういう状態なの?それにご神体が」


祖母は頭をかきながら答える。


「まず。自分が亡くなったのは知っておるな」


「うん。それで異世界に転生してた」


「そうじゃな。でもな。お前は亡くなっては、いないのじゃ」


「えっそうなの」


「普通なら亡くなるところなのじゃが、お守りの紐があったじゃろ。あれで縁(えにし)をつないだのじゃ」


「今、私は?」


「魂は、ばあちゃんの神社、身体は都内の病院じゃ」


「それでどうやって戻すの?」


「お前の魂を病院まで持っていって、口から入れる」


「えっ?それでいいの?」


「そんなものじゃよ」


「あと鏡割れたよ。ご神体じゃないの?」


「あれはな。転生神に割られたんじゃ。一応対価がないとな、転生神もメンツがあるからな」


「だいじょうぶ?」


「だいじょうぶだ。お前が亡くなる1月前に、鏡のパーツが破損していてな。修理にだしておったのじゃよ。今あるのは、代車みたいなもの。代神体」


「それでいいんだ」


「ご神体といっても、うちの鏡は神様の家みたいなものだからな。リフォームに出したら、しばらく仮住まいも普通よ」


「えっ神様はいなかったの?」


「神様は呼ばれた時に、来るだけだからな。ずっと常駐はしないよ」


そうなんだ。なんか知らないことだらけだな。


「それで私はどうやっていくの?」


「ちょっと待っておれ」


数分後……

祖母は、私が高校で使っていた弁当箱と、私が使っていたパンツを持ってきた。


「えっ。ちょっとなんで、そのパンツ」


「これはな。できるだけ、その人が生前に使っていたモノのほうがいいんじゃ」


「でも、

パンツは……。

あっ高校のころ使っていた。

リストバンドがあった。

あれなら、汗もしみ込んでいるし」


「おお。そうか。探してみる」

10分後祖母はリストバンドを持ってきた。


「わー懐かしい」


「では……これに触れろ」


「ハイ」

リストバンドに触れると、リストバンドに入っていくのがわかる。

なんか溶け込むような不思議な感覚だった。


もしかして…

憑依するってこんな感じなのかな。

と私は変なことを考えた。


私達は、翌日の始発で都内に戻る。


しかし……

霊体とは変な感覚だ。

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