第10話

変態フェーラの魔の手から逃れる策を考え実行しながら過ごして2週間。どれも変態フェーラには効かず不発に終わっているが


「あぶぃさだぁぁぁ♪きゃっきゃっ」


そんな生活を送っている中俺は今、異母兄妹で産まれたばかりの妹【アニィ】に懐かれてしまい抱きかかえている


「ちぇきちゅき♪きゃっきゃっ」


アニィと初対面するのはもっと先だったはずなのだが、まあ今世に限っては変態フェーラという存在もありすんなりと受け入れる。でも何故だろう、まだ赤子のアニィの俺を見る目が♡マークになっている気がするのは


「あら、アニィはシュミットを気に入ったみたいね。私には全く懐かないのに妬けちゃうわぁ」


俺とアニィに対し微笑ましい笑顔(目は笑っていないが)を向ける、父モーエルの第二婦人であり【ヘルモード】では、エヌティアール家を乗っ取る為に色んな事をやらかす【ウラギリン】、そしてその腕に抱かれているのはアニィと双子の兄【ノットル】。もっとこう名前はどうにかならなかったものかね。まるで某ネタ〇レが〇しいヤツと同じで『あっ、こいつらは敵だわ』って、もろバレだったし


まあこの二人ウラギリン・ノットルに関しては行動に無駄が多いので対応するのは結構簡単だったりする。だがその分、かなりお金がかかるのがネックになるのだが。さてさて、今世での対応はどうすべきかね


「そうなのですか?ウラギリン義母様かあさま?」


「ええ、アニィは最近私が側に寄るだけで泣くこともあるのよ」


そう言いアニィを俺から受け取ろうとするが、当のアニィが俺にイヤイヤとしがみついて離れようとしない。それを無理矢理引きはがして渡そうとするとぐずって大声で泣きだし余計に俺にしがみつく力が強くなる。この後も予定があるのでどうした物かと思っていると


「シュミット様!このフェーラにお任せ下さい!」


「ぬわっ!!ふぇっ、、フェーラ」


「はい♪シュミット様専属【自主規制ピー】のフェーラです」


「アウト――!!いきなり湧いて出て来た瞬間、何を言ってやがるんだこの馬鹿野郎が」


「野郎ではありません。そこはせめて【自主規制ピー】と呼ばれたら嬉しいのですが」


「誰が呼ぶか!!この馬鹿メイド!!」


「はうっ♪」


「喜んでんじゃねぇぇぇ!」


簀巻きにして閉じ込めたはずのフェーラがどうやって抜け出したのか分からんが突然現れてビックリする。ウラギリンもいきなり現れたフェーラに驚いているし



「それよりもシュミット様。お時間も迫っているのでは」


「そうだけどさぁ。無理矢理引きはがすにしても思ったより力が強くて」


「シュミット様に無理矢理、、、、ぐへへ、、」ジュルリ


この後も予定が入っているのでどうしたものかね。フェーラは俺の言葉に何か変な妄想をし始めるし



「( ゚д゚)ハッ!フェーラは正気に戻りました。ではシュミット様フェーラに考えがありますのでお任せください」


「さいで」


何か策があるのであれば、不安しかないが現状どうしようも出来ないのでフェーラに任せてみるか。フェーラは「失礼します」と言ってアニィの耳元で何かを囁く。するとあんなにも俺から離れるのを嫌がったアニィが、俺の元からフェーラの元へと移動する



「、、、、で、、、、、です、、、か、、」


「、、、あぶぶ、、、きゃぃ、、きゅぅる、、」


そしてアニィはフェーラの腕の中に納まり、額を突き合わせながらボソボソと小声で会話?をしているかの様だ。気にはなるが時間も迫っているのでウラギリンに最低限の挨拶をして部屋を後にする















~ Sideウラギリン ~


「はぁ、、まったく嫌になってしまうわ。でもあの人の子を授かれたのがせめてもの救いね」


私の名はウラギリン。今は没落してしまった【マザルサレ伯爵家の次女】よ。没落前は王都で華やかな生活を送っていたのに、今はこんな辺鄙なド田舎で暮らす羽目に


「はぁ~」


ド田舎に嫁いでから数えきれないほどの溜息。だって仕方ないじゃない、ここには煌びやかなドレスを着ての舞踏会や華やかなお茶会なんて全くないし、それにモーエルは且つての婚約者とは違いイケメンとは言い難いし、まあ優しい所は好ましいけど。でもそれ以上の不満があるのよね


嫁いできた当初は王都とは違って自然豊かで素晴らしい場所だと思っていたけれど、王都での生活に未練もある訳で、偶に訪れるだけなら気にもしないけど、ずっとここで生活をするってなると流石に嫌になってきちゃうわ


それでもモーエルには感謝しているから我慢している訳で。没落して行き場の無くなった私を第二婦人として迎え入れてくれたし。出来れば元婚約者が私を迎え入れてくれればどんなに良かった事か。そしたら今までと変わらず、あの生活を送れたと思うし


それに最近では、私が産んだ双子のアニィが母親である私に懐かないのも溜息が出る原因の一つね。ノットルはこんなにも私に甘えてくるのに、アニィは私が近づくだけで大声で泣きだすのだから、、、でも何で、シュミットにはあんなにも甘えるのかしら?


それよりもよ!久しぶりに会ったシュミットは、こう何て言ったらいいのか分からないけれど、、、その、、元婚約者やモーエルには無い、私の女としての部分に響く色気があるのよね。最初に会った時は可愛らしい子としか思っていなかったけど。私ってこんな女だったかしら?


「あぶぃさだぁぁぁ♪きゃっきゃっ」


今もアニィを抱きかかえるシュミットの表情を見ただけで【自主規制ピー】が疼いて垂れちゃいそう。そう言えば、シュミットの母であり正妻のフレイが息子の成長がどうとか言っていたわね。後で詳しく聞いてみようかしら



でも今はそんな事よりも、折角無理を言ってシュミットとの時間を作ったというのに、私とお話をせずになんでアニィばかりに構っているのよ!!そんなに若い娘が良いの!!私に構ってくれないなら悪戯しちゃうわよ


「シュミット様!このフェーラにお任せ下さい!」


えっ?今このメイド何処から現れたのかしら?さっきまでその場所には誰も居なかったはずよね


何と言っていいのかしら、このフェーラっていうメイドは変な娘ね。シュミットに怒られているのにも関わらず飄々としているじゃなく喜んでいるのかしら?それにどんな手品を使ったのか、シュミットから離されるのを嫌がっていたアニィをシュミットから受け取ってるし



「では、ウラギリン義母様かあさま。私はこれで失礼します」


ああ!シュミットが行っちゃう。私も笑顔で送り出さないと


「そう、頑張りなさいシュミット」


だ、大丈夫かしら?私、ちゃんと笑顔で送り出せたわよね。あっ、濡れてきちゃった



シュミットが去ってから、アニィとメイドの二人が私に向ける視線が怖いのだけど、私何もしていないわよね?

















~ 後書き見たいなもの ~


書いていたらいつの間にか、ウラギリンがシュミットガチ恋勢になってしまった。これには父と祖父もニッコリ

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