間に合う?間に合わない?

「そういえば今の時間は・・嘘、ペース上げなきゃヤバいかも!?」


「後何分?」


「5分!!」


「バスの時刻、あれは

『この時間より早く出る事はないですよ』

の目安だからね。電車じゃないから定刻運行なんて無理なんだから。だから気持ち余裕ある筈よ、多分・・」


「・・それにしても・・未だに彼から既読もないし連絡もない。どうしたんだろ・・」


「・・私の方も無いわね。今は気にしても仕方ない、今はなりふり構わずに進むわよ!」


「私も!」


・・・・


「ハァ・・ハァ・・もう少し・・」


「この交差点を渡ればって・・嘘、バス見えるじゃない!」


「え!?」


「1つ後ろの信号に引っかかってる!こんな日に限ってほぼ定刻通りに動いてるなんて・・」


「もう間に合わないよ・・」


「・・歩道橋・・なら・・先に行ってるわよ!」


「へ!?」


ダッダッダ・・


「歩道橋をダッシュでって・・お姉ちゃんの運動神経じゃなきゃ無理だよ、階段ダッシュで渡るなんて。あ、信号変わってバス来ちゃった・・」


プシュー・・


「お姉ちゃんは間に合ったんだ。せめてお姉ちゃんだけでも」


「何してるの、急ぎなさい!!」


「まさか待って貰ってる?」


ダッダッダ・・


「ごめんなさい!」


「ありがとうございます!!」


『発車しま~す』


「ほら、早く座りなさい!」


ドスッ


「お姉ちゃん、ありがとうだけど痛いよ。乗ったんだからそんな急かさないでよ・・」


「馬鹿っ。座らないと運転手さんに迷惑でしょ?」


「?」


「万が一、急ブレーキ踏む事態が起きたらどうするのよ、倒れかねないでしょ?怪我したら運転手さんに迷惑かけるのよ!バスが遅れるのよ?電車もバスも席が空いてたら座る!それが乗り物の乗客のマナーよ!!分かった?」


「はい・・」


「分かればよし。次から気をつけなさい。」


「・・今日はお姉ちゃんが別人に見える・・」


「何よそれ。私は昔から変わらないわよ。」


「さっきの話といい、今といい・・恋は人をここまで変えるんだね。」


「何をしみじみ言ってるのよ、全く・・恋したから変わった訳じゃないわよ。あんたは知識は凄いけど、生活の知恵とかは私の方が詳しいだけよ。」


プルルルル・・


「え、彼から着信!?今は出れないのに・・なんでメッセージじゃないんだろ。」


「バスの中だってメッセージしなさいよ。」


「そうする・・って、あ!分かった!!」


「何よ唐突に・・」


「目覚ましが鳴らなかった理由。」


「はい?」


「今日は土曜日だけど祝日だよね。」


「だから学校が休みでデートに行くんじゃない。」


「私、祝日はアラーム鳴らない設定だったの忘れてた・・」


「・・・・何やってんのよ、全く・・」


「お姉ちゃんが自力で起きてくれないのも悪いんだよ?」


「うっ・・」


「今更仕方ないよ。バスには間に合ったけど、彼はどうだろうな・・」


「さっきの着信は待ちきれないから帰るだったり?」


「だったらメッセージで状況確認してからだと思いたいよ。あ!やっと駅まで来たんだ・・後10分位かな?駅のロータリーに入らず、直行してくれたらいいのに・・」


「無茶言うわね。駅からバス乗る人どうするのよ?」


「誰もいないよ、なら今日だけはいいでしょ?」


「身勝手ね。」


「待たせてるし不安なんだよ・・朝起きなかった私が悪いけど、随分待たせてるから待っててくれてるかな?思うと・・」


「私も不安がない訳じゃないけど、なるようにしかならないわよ。」


「そうなんだけど・・もぅ赤信号長いな~・・まだ信号変わらないの?」


「言われてみたら・・確かに長いわね。」


「あ!歩車分離式だぁ・・」


「そりゃ長いわ。」


「・・・泣きたくなってきた・・」


「きっと待っててくれてるわよ。嬉し泣きの為に我慢しなさい。」


「けど・・」


「自分の選んだ彼氏でしょ!信じないでどうするの?」


「お姉ちゃんは信じてる?」


「信じる他ないでしょ。」


「・・やっと動きだした・・もうすぐ着くから・・お願い待ってて!」


「・・・信じてるわよ・・」


「やっと着いた!」


「先に行きなさい。支払いはしといてあげる。」


「お姉ちゃん、ありが」


ドン!


「ごめんなさい!急いでてよそ見しちゃってて。大丈夫ですか?」


『大丈夫ですよ。』


「ごめんなさい、妹が。後は私に任せて、早く行きなさい。」


「ありがとう!ごめんなさい!!」


「・・全く・・」


『デート?』


「はい・・お互い遅刻しちゃってて。」


「私は大丈夫だから、貴女も早く行きなさい。」


「本当に申し訳ありません。ありがとうございます。」


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