お姉ちゃんの助言
タッタッタッ・・
「天気はあまり良くないけど、雨が降る気配がないのが救いだね。」
「そうね・・小雨でも降ってたらこんな走れないし、お手上げだったわ。」
「ただ、走れなくはないけど・・汗かかなきゃいいけど。初デートに遅れた上、汗臭いなんて思われたら嫌だよ。」
「その程度でブーたれるなら男のキャパがない証拠。別れちゃいなさい!」
「ひっどーい!私がどんな想いで告白したかも知らない癖に。そんな事で別れたくないよ!」
「度が過ぎてるなら仕方ないわよ。けど、それ位も許せない程の余裕が無いなら先が思いやられるわ。きっと長続きしない、なら割り切って新しい相手を探した方がいいわよ。」
「好きな相手の前では、理想の女の子でいたくないの?お姉ちゃんは。」
「私は合わせたくないし、合わせて欲しくもないわ。あくまでお互いに等身大で。窮屈な関係はお断りよ!」
「お姉ちゃん・・強い・・」
「デート位ならともかく、将来を考えたら等身大の姿で接する事が出来なきゃ嫌じゃない。」
「お姉ちゃん、気が早いね。」
「常にそういう目で相手を見ておきたいのよ。初恋の相手と添い遂げる可能性は低くてもゼロじゃない。いい所も悪い所も引っ括めてどうするのか、どうしたいのかを常に考えとかなきゃ。デートならその時だけを取り繕えば良い。けど同棲や結婚したら、相手の嫌な部分も否応なく見る事になる。その時になって後々こうじゃなかった!って後悔してもどうしようもないわよ。」
「・・普段のお姉ちゃんらしくない。」
「失礼ね!」
「私はその時が楽しいのが1番だから・・そこまでは考えられないよ。」
「恋愛で刺激を求めるのは分かるわ。けど、添い遂げる相手には安定を求めなきゃ・・同じ相手なんだからいつかマンネリや飽きが来る。常に刺激ばかり求めていたら、いつか浮気や不倫のキッカケに繋がるわよ?」
「・・・」
「ま、今は深く考える必要はないと思うけど・・頭の片隅にでも入れておきなさい。」
「・・お姉ちゃん、何か変な物食べた?」
「度々失礼な事言うわね!」
「けど・・何があってそんな考えをするようになったの?」
「両親の姿と、周りの影響かな。友達の恋バナを聞いてるとキラキラした派手な話ばかり。その時楽しいしか見えてないな思ってて・・けど、両親見てるとキラキラなんてなくて落ち着いてるじゃない。」
「流石にね・・」
「ずっと恋の熱量では過ごせない、恋心はいつか愛情に変わる日が来るんだと思う。結婚を機に変わるのか、長い時間を過ごす内に段々変わるのかは分からない・・彼を異性として意識し始めてから、自分はどうなんだろ?どうしたいんだろってのが気になってね。」
「彼氏さんの事、将来の事まで見据えて真面目に考えてるんだね・・私は・・」
「私に言われたからって理解するのは無理よ。自分で気づいて考えてしなきゃ・・私の話はあくまでもきっかけに過ぎないんだから。考え方の殻を破るのは外からの力じゃない、自分の中からの力。卵から生まれる雛は自分で殻を破るでしょ?そんな感じよ。」
「・・・デートの前にお姉ちゃんからこんな話を聞くとは予想外だったな・・」
「私も経験を語ってる訳でなく、あくまでそう考えてる事だからね。理論だけの頭でっかちな考えだから、これが正しいかどうかは分からないわよ。」
「考えすぎもダメだけど、その時だけも良くないよね。」
「今日はお互いに初デート。粗探しより、楽しむのとかいい所を見つける方を優先で良いんじゃない?」
「まずは遅刻した事を許して貰ってからだけどね。気持ちは通じるわよ、きっと。」
「「お願い、待ってて」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます