「たまには真剣に戦う日」
冒険者たちのぽかぽか酒場
第1話 だから、異世界ファンタジーは変なんだよなぁ。「皆さん?家に帰るまでが、戦いですよ?」 何だそりゃ。
ファンタジーな異世界には、誤解も多い。
「いつもいつも、戦っているんでしょ?」
言われがち。
「いやいや、皆さん?この世界では、いつも戦いがあるわけではありません」
そう言ったとして、なかなか信じてもらえない。
ファンタジー世界の学校の年輩先生が、ほほ笑んでこう言うんだものな。
「良いですか、皆さん?家に帰るまでが、戦いです」
何だそりゃ。
「あの先生、何言っているの?」
「家に帰るまでが遠足の、まちがいかな?」
これに、年輩の学校の先生は困るだけ。
「今の子は、ああ言っていますが…」
「今の子じゃなくても、ああ言うところでしょうが…」
「今の子は、危機感がないのです」
「ゆとっていますな」
「今の子は、どうせ楽勝人生ルート」
「本当に努力をしてきた我々おじさん世代が、みじめですな」
「まあ、まあ」
「今の子に、危機感をもたせたいな…。そうだ!」
校長先生が、こんなやりすぎ日を作った。
「たまには真剣に戦う日」
もちろん、皆が友だち世界に 1つだけの花で育った今の子にはウケは悪い。
「やりすぎ」
「ボクたち、何で戦うの?」
「意味わからない」
そんなあきれの中、校長先生が勝手に決めたその日がやってきた。
「君!ちゃんと、頭上を見なさい!」
学校からの帰宅道で、どこかから、体育主任のおじさん先生がさけぶ。
子どもたちを、見張りにきていたらしい。
「うわ!」
「何だよ、あれ!」
今の子の頭目がけて、ファイヤーボールが飛んできた。
剣ややり、爆弾が降ってくることはないものの、安心できない戦いが続く。
「痛い!」
「冷たい!」
今度は、氷の粒が飛んできたようだ。
「がまんするんだ、君たち!今、学校から回復魔法部の上級生がやってくる!木陰で身をひそめて、待っていなさい!」
体育主任が言ったときには、もう、午後も 8時越え。
校長先生も車でかけつけてきて、言う。
「君たち?今日の戦いは、どうだった?戦いを知らないと、あの、新卒世代のお兄さんお姉さんたちのようになりますよ?」
「…」
「先生の、言った通りでしょう?学校から家に帰るまでが、戦いなのです」
「…」
「皆?戦いを、どう思いますか?」
すると、皆が一斉に返すのだった。
「もう、学校やめていいですか?」
今の子は、正直。
「たまには真剣に戦う日」 冒険者たちのぽかぽか酒場 @6935
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