第38話 聖杯防衛戦

防衛戦の初日、パラダイス・シティは要塞と化していた。


「第一防衛ライン、準備完了!」


グレイブが報告する。子供の姿だが、指揮は的確だ。


「罠も仕掛けた!」


バルキリーも準備万端。小さな体で、大きな斧を引きずっている。


「侵入者は逃さない!」


街の周囲には、幾重もの防御陣が張られていた。


ルシファーの千年の知識と、アルケミアの錬金術の結晶だ。


「これで少しは時間が稼げるはず」


アルケミアが額の汗を拭う。紫の作業着が、薬品で汚れている。


しかし、敵も本気だった。


* * *


「来たぞ!」


見張りの子供が叫ぶ。


東から「終焉教団」の残党。

西から「永遠の幼年団」の一派。

南から「大人至上主義帝国」。

北からは、見知らぬ集団。


「四方から同時に...」


エリザベートが舌打ちする。黒の戦闘服が、緊張感を醸し出している。


「連携してるわけじゃないでしょうけど」


「結果的に総攻撃ね」


セラフィーナが聖なる力を高める。純白の戦闘服が、光り輝いていた。


「でも、負けない」


「みんなを守る」


* * *


戦闘が始まった。


まず東の終焉教団が、暗黒魔法で結界を攻撃。


「闇よ、全てを飲み込め!」


しかし、セラフィーナの光がそれを防ぐ。


「聖なる光よ、闇を払え!」


光と闇のぶつかり合い。純白のローブが激しくはためき、豊かな胸が上下する。


西では、幼年団が子供の姿で突撃してきた。


「聖杯は我々のもの!」


「ガキが!」


グレイブが迎え撃つ。


子供同士の、奇妙な戦い。


* * *


南の帝国軍は、重装備で攻めてきた。


「効率的に制圧する」


「子供など蹴散らせ」


しかし、リリスの罠が発動。


「あら、落とし穴♪」


妖艶な笑みと共に、帝国軍が次々と穴に落ちていく。


黒のバトルスーツで、リリスが優雅に見下ろす。


「効率的じゃないわね」


北の謎の集団は、さらに奇妙だった。


全員が白いローブで、顔を隠している。


「我々は『完全なる無』」


「世界を無に帰す」


* * *


「また新しいやべー奴らか」


真一がため息をつく。


「聖杯に群がる連中」


「ろくなのがいない」


美月が健気に回復魔法を使う。白いローブが汗で透け、下着のラインが浮かび上がる。


「みんな、頑張って!」


その時、ファントムが現れた。


「援護するわ」


黒いボディスーツで、敵陣に潜入。


「あら、お宝発見♪」


敵の武器や補給物資を、次々と盗んでいく。


* * *


しかし、敵の数は多すぎた。


「キリがない!」


エリザベートが叫ぶ。黒の戦闘服が、返り血で染まっている。


「このままじゃ...」


その時、意外な援軍が現れた。


「パラダイス・シティを守れ!」


なんと、街の住民たちが立ち上がった。


子供も大人も、武器を持って。


「ここは俺たちの街だ!」


「やべー女たちと一緒に守る!」


レオンも小さな剣を振るう。


「ぼくも戦う!」


* * *


形勢が変わり始めた。


住民たちの参戦で、防衛側が盛り返す。


「くそっ!」


終焉教団が撤退を始める。


「一旦退く!」


他の勢力も、次々と撤退。


第一波は、なんとか防ぎきった。


「やった...」


美月が安堵の息をつく。


しかし、真一は気を緩めなかった。


「これは始まりに過ぎない」


「あと29日もある」


* * *


その夜、作戦会議が開かれた。


「このペースじゃ持たない」


アルケミアが疲れ果てている。紫の白衣が、戦闘の跡でボロボロだ。


「薬品も底をつく」


「人員も限界」


リリスも同意する。


「何か策を考えないと」


その時、ルシファーが提案した。


「一つ、方法がある」


黒いドレスを翻し、地図を広げる。


「聖地への移動」


「聖地?」


「世界の中心にある」


「最も魔力の安定した場所」


* * *


「そこなら」


セラフィーナが理解する。


「聖杯の力も抑えられる?」


「少なくとも」


「暴走は防げるはず」


しかし、問題があった。


「聖地までは、7日の道のり」


エリザベートが指摘する。


「移動中が危険すぎる」


「でも、ここにいても」


真一が決断を下した。


「移動しよう」


「聖地を目指す」


こうして、聖杯を持っての大移動が決まった。


* * *


翌朝、出発の準備が整った。


聖杯は厳重に封印され、護送車に乗せられる。


「みんな、いいか?」


真一が仲間たちを見回す。


「これから7日間」


「最も危険な旅になる」


「でも、絶対に聖地にたどり着く」


やべー女たちが、決意の表情で頷く。


エリザベート、セラフィーナ、アルケミア、リリス、美月。


そして、ルシファー、ファントム。


子供になった仲間たち。


パラダイス・シティの住民たち。


全員が、一つの目的のために団結した。


「出発!」


聖杯防衛の旅が、始まった。


次回予告:

「聖地への過酷な道のり!」

「次々と襲いかかる刺客!」

「そして明かされる聖杯の最後の秘密!」

第39話「聖地への道」、冒険は続く!

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