第14話 生徒会長の宣言、そして始まる封鎖

 翌朝――


 始業のチャイムが鳴る直前、校内放送が異様な静けさを切り裂いた。


『全校生徒へ連絡します。生徒会長・神城玲央より、本日より校内の一部区域を封鎖します。詳細は生徒会役員の指示に従ってください』


 教室内がざわめいた。


「な、なんだって? 封鎖って、え、事故でもあったのか?」


「まさか、また行方不明者が……?」


 騒ぎをよそに、俺はすでに立ち上がっていた。


「ユリア、行くぞ」


「ええ。あの“印”を放っておくつもりはなかったけど……思ったより展開が早いわね」


 二人はそのまま生徒会室へ。


 扉を開けると、神城玲央は静かに窓辺に立っていた。


「来たね。想定より半日早く、第二の門が活性化した。昨日の君たちの交戦で、影の側も焦り始めたらしい」


「封鎖って、どこまでの範囲だ?」


「東棟三階の旧講義室周辺。あの“印”が浮かび上がった場所だ。すでに霧が発生していて、一般生徒が近づけば意識を失う危険がある」


 玲央は手元の資料を俺たちに見せた。


「生徒会と“知っている者たち”だけで、まず封じ込めを行う。だが時間がない。影の浸食が進めば、この学園そのものが“次元の裂け目”になる」


「そんな……!」


 ユリアが声を漏らす。


「それが奴らの狙いか。異界とこの世界を繋ぐ“固定化された門”を、ここに作ろうとしてる」


「最悪、数百人の命が失われる。……だから、これ以上の遠慮は捨ててくれ」


 玲央の瞳は、もはや生徒会長ではなく“世界の観測者”のそれだった。


 俺はわずかに目を細め、頷く。


「了解。もう“兄としての顔”だけでは戦えないな」


「でも、兄さまとして戦うって言ったじゃない」


 振り返ると、そこには澪と天音の姿。


「なんでここに――」


「……兄さんが、また全部一人で背負うつもりなんじゃないかと思って」


「勝手に出ていったら、また夜に部屋に潜り込んじゃうからね?」


 俺は苦笑しながら言葉を飲み込む。


「……仕方ない。巻き込むのは本意じゃないけど……今のお前らを信じたい」


「うんっ!」


「……私も、戦うって決めたんだから」


 その瞬間、生徒会室の奥の通信機が微かに“警告音”を鳴らした。


 玲央が即座に端末を確認し、表情を強張らせる。


「始まった。門が開く」


 戦いの火蓋は、再び切って落とされた。

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