第六章:嘆きの章(泥)

 ​『雄牛の犠牲』によって『豊穣』は約束された。

 だが、後の子らは、その『儀式』の真実を忘れていった。


 ​第一の子らは、『マグアイ』の『本能』の側面のみを崇拝し、『英雄の覇道』を模倣した。彼らは『求道』を忘れ、ただ『力』に溺れ、父への傲慢を働いた。

 ゆえに母は嘆き、最初の『泥の涙』を流した。


 ​第二の子らは、『雄牛の犠牲』の『豊穣』に安住した。彼らは母の苦しみを忘れ、自らの『根』が泥の上にあることを忘れ、父のいる『天』へと逃避しようとした。

 ゆえに母は再び嘆き、二度目の『泥の涙』を流した。


 ​第三の子らは、『母の本能』を恐れ、『父の理性』のみを崇拝した。彼らは『生命』を捨て、『知』に溺れ、犠牲の儀式そのものを愚かなものとして忘却した。

 ゆえに母は深く嘆き、三度目の『泥の涙』を流した。


 ​『砂の書』が災厄と呼ぶ『泥』。

 それは『罰』ではない。

 『母なるアマテル』が、我が子らが真実を忘れ、父と母の『和解』の道を閉ざしてしまったことを嘆き、流し続けている『泥の涙』に他ならない。

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