　『求道の姫巫女』に導かれ、『覇道の勇者』は自らが成すべき『真の戦い』を悟った。

　彼が倒すべきは、外なる『父の秩序』だけではなかった。

　彼が倒すべきは、自らの内にあり、彼を『覇道』へと駆り立てる『荒ぶる本能』そのものであった。

　その『荒ぶる本能』の象徴こそが、『聖なる雄牛』であった。

　『雄牛』は、父神アマカエルが『秩序』の象徴として地上に放った獣であり、同時に、『マグアイ』の際に母神が受け入れた『獣性』の化身でもあった。

　それは『父』であり『母』でもある、倒すべき『自分自身』であった。

　『英雄』は、姫巫女が見守る聖なる祭壇（翠点の畔）にて、その『雄牛』と対峙し、激しき戦いの末、ついにその心臓に槍を突き立てた。

　──雄牛の犠牲。

　それは、彼が『父の秩序』に勝利した瞬間であり、同時に『自らの獣性』を乗り越え、『求道』を選んだ瞬間であった。

　犠牲となって流された『雄牛』の聖なる血は、乾いた『砂』に注がれた。

　すると、砂は『母なる大地』としての力を取り戻し、血が染みた場所から、かつてないほどの『豊穣』が芽生えた。

　これこそが、父と母の『和解』の儀式であり、星が初めて『恵み』を知った瞬間である。

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