Day16 にわか雨 (坂城)
週に一度のバイト先を出て、自転車で3分。家までの短い距離は、あっという間に雨のカーテンが幾重にも降りてきて行方を阻まれた。
通用口のドアを開けたとき、何となく空が嫌な明るさだな、と思わないこともなかった。なかったが、ここからまた部屋まで歩くのか、と7分かけてやっと辿り着いたアパートの自転車置き場の屋根の下、げんなりしてしまう。
とりあえず下ろしたリュックからも頭からもTシャツからもズボンからも雨が滴っている。不快指数の高いことこの上ないが、家に帰るには屋根のない駐車場を突っ切らないといけない。でも、でも、でも、でも、を何度か繰り返し、
「あ゛〜、でも腹減った! 帰ろう」
よし、と諦めて、身体の前にリュックを抱き込んだ坂城は雨の中を駆け出した。
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