Day9 ぷかぷか (中嶌、鰺坂)
「あ゛〜」
「声が死んでるね」
「今日、弁当用意してこれなかったんすよ……」
「珍しいね」
「財布も忘れてたんすよ……」
「……ストックは?」
ふるふると振られた首に、あらら、と陽子は哀れを覚えた。とは言っても陽子は基本的にコアタイムの18時を過ぎても残ることが少ないし、相変わらず実家で弁当を持たせてもらっているのでお腹に溜まるようなストックは置いていない。
生憎、今ここには陽子と中嶌の二人しかいない。さて、どうするべきか。お金を貸してやれるほど豊かではない財布を思えばなおさら、考え込んでしまうのだった。
「あ゛〜、担々麺の具になりたい」
「担々麺美味しいよね……って、え?」
「スープにぷかぷか浮かんでたいです」
「それはまた……暑そうだけど」
「ふふふ、毎年この時期は冷やし担々麺が学食に出るんすよ。……まぁ、財布忘れたから行けませんけど」
ふへへへへ、と不気味な笑い声のなか、昼を告げるチャイムが鳴った。
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