その言葉、世界を巻き込む死のトリガーとなる。

友人の通夜の電話という設定からしてすでにブラックなのに、その死因が「生成AIが作った究極の淫語のせい」という衝撃の導入に、「どういうこと!?」。

会話は軽快で、初めは、ただの笑い話として読み進めてしまうのです。
「AED=オートエロティック・デス」という言葉。調べてみました。すると全く違う意味も持っていました。

この短編の凄いところは、その「笑い」の裏で、言葉が人を殺すという恐怖がじわじわと進行していること。軽口を叩いていた主人公は、物語のラスト、ついに虚構と現実の境界線を越えてしまう…。

AI時代の「言葉中毒」を描いた、最高に笑えて、読後に背筋が寒くなる鋭い社会風刺が効いた大人向けの短編として、強くおすすめします。

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