6-5

「海音ちゃん、ねえ来て来て!!」


 アオイくんに手を引かれて次に来たのはアクセサリーショップだった。


「ダメダメ、高いのを、買ってくれようとしてるでしょ」

「高くないのを選ぶから大丈夫!」


 そう言って私を鏡の前に立たせてネックレスを色々とあててくれる。


「あ、可愛い」


 気に入ったのはコロンとした小さなハートがついたネックレスだ。


「なら、これにしよっか」


 あ、ちょっと待って、値段確認してない、と思った時にはもうアオイくんはレジへと走っていた。

 待っている間、その色違いのネックレスを見た時に私のプレゼントした帽子の二倍の金額であることに青ざめる。


「はい、海音ちゃん」


 小さなプレゼントボックスを手に戻ってきたアオイくんに、


「ごめんね、高かったよね、本当にごめんなさい」


 申し訳なさでいっぱいになる。


「大丈夫、ちゃんと小遣いプラス貯金持ってきたし! 海音ちゃんとのデート軍資金」


 笑って箱を開け中身のネックレス取り出して、


 「つけさせて」


ハイと私を後ろ向かせて器用にネックレスをつけてくれてから。


 「ん、可愛い、海音ちゃんに似合ってる」 


 ね、って笑ってさらりとバックハグ。

 鏡越しにアオイくんに抱きしめられてる私の姿に真っ赤になっていることにも、お構いなしみたい。

 オレも被っていい? と私がさっきプレゼントした帽子を被ってくれて、倉庫街を二人で廻る。

 手はずっと繋がれたまま、しかもいつの間にか恋人繋ぎのように指まで絡められてしまい、心臓が持たないかもしれない。


 ランチはアオイくんが美味しそう~って眺めていたビュッフェレストランだ。

 二人掛けの小さなテーブルいっぱいにお皿並べて窓から見える海を眺めながらジュースで乾杯。

 クリスマスビュッフェなだけあって、それっぽい料理やケーキがたくさんあって迷う。

 どれにしようか、と皿に並ぶ料理を眺めていたら、ふと見られている視線に気づく。

 顔をあげたら、アオイくんが含みを持った顔で笑いを堪えていた。


「何?」


 何か私変なことしたかな?


「海音ちゃん楽しそうだなって、どれにしようかなって顔で笑いながら料理見てるし」


 う、図星だ。

 恥ずかしくなって唇噛みしめた。


「ああ、もう全部可愛いや、オレのも食べちゃっていいよ、海音ちゃん」


 クスクス笑ってるけど、しっかり聞こえてるから耳まで火照ってるよ、私。


「そんなに食べられないからアオイくんも食べて」


 照れ隠しに手前のお肉をブスっとフォークに射してアオイくんの口元に運ぶと、アオイくんは目を丸くしていて。


「いいの? オレが食べちゃっても? その後、海音ちゃんが間接、」

「!! ダメ、嘘、私が食べる!!」


 慌てて自分の口元に運んでお肉を頬張る私に耐えきれないとでも言うように、またアオイくんは涙目で笑いを堪えてる。

 アオイくんといると時間はあっという間に過ぎていく。

 年が明けると一緒に初詣に行ったりして、穏やかに時間が過ぎていった。

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