我が輩はにゃんこ枕である。2

クライングフリーマン

後輩登場

 我が輩はにゃんこ枕である。

 名前なんかない。枕と言ったが、クッションなのである。

 主人は、ものぐさである。

 その、ものぐさ主人が、とうとう我が輩を洗濯した。

 脱水機を使うのが面倒で、濡れたまま我が輩を放置。翌朝、コインランドリーの乾燥機へ。

 我が輩は、水とたっぷり吸っているので、乾ききれなかった。

 それで、また翌朝、天日干し。

 その間、我が輩ナシで主人は寝ていたのかと言うと、臨時のにゃんこ枕を用意して、寝ていたようである。

 我が輩は用済みなのかと思いきや、一番手は我が輩で、『非正規』は、予備だそうである。

 主人の、今は亡き母親のベッドに行く筈が「小さい」と却下され、暫く我が輩は『浪人生活』、いや、『浪にゃんこ枕生活』を余儀なくされていた。

 主人は、遺品整理の時、我が輩を捨てなかった。

 名前を付けない、ものぐさだが、愛情はあるのだ。

 そもそも洗濯を躊躇っていたのは、洗濯すると我が輩の内蔵が飛び出て悲惨な状況になると夢想していたからだ。

 我が輩はにゃんこ枕である。

 クッションである。後から来た後輩は、大陸製らしい。

 荷物の配達が遅いと、必ず生産地が日本じゃない、とぼやいていた。

 細かいことは分からない。クッションだからである。

 いい年こいて、家族すらいない。

 ペットを飼う余裕もない。

 健康体ではない。

 我が輩が『癒やし』になるのかどうか分からない。

 どの道、主人の好きなようにさせるしかない。

 クッションだからである。

 誰かの生まれ変わり、というやつかどうかは分からない。

 我が輩が意識を持っていることは、主人は元より、誰も知らない。

 でも、どうでもいい。

 クッションだからである。

 我が輩はにゃんこ枕である。

 我が輩を頭の後ろに寝かせ、すやすや眠っているのを感じて、あの時捨てられなくて良かったな、と思う。

 我が輩のポジションは譲れないな、後輩には。

 名前はない。

 我が輩はにゃんこ枕である。

 ―完―


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