第3話 学園の話は面白いよっ!
メイお姉ちゃんのお友達は全員学園に来てから仲良くなった人で、同じ一年生と、二年生の先輩がいるんだって。みんな普通の寮とは別の『特別寮』ってところにいるらしい。
「特別寮ってことは、メイお姉ちゃんもソフィーちゃんも優秀なんだね」
『うん。メイはいつもすごくがんばってるのよ。でも、わたしはメイのお人形だから一緒のお部屋なんだと思うな』
「学園にはソフィーちゃんみたいなお人形さんがいっぱいいるの?」
『ううん。わたしは見たことないわ』
── なんだ、ソフィーちゃんみたいなうさぎさんがいっぱいいるわけじゃないんだ。
もふもふ学園ではないんだね。だけど、学園のみんなが親切で、いっぱい話しかけてくれるから毎日楽しいって言ってたよ。
あたしと話しているこのアプリは、学園長さんからもらったタブレットに入ってたんだって。ソフィーちゃんはみんなが授業中は雑用をするか、時々授業のお手伝いをすることもあるみたいなんだけど、基本一人でいる。大好きなメイお姉ちゃんとも離れていてやっぱり寂しいなって思うこともあったみたいだ。
そんなソフィーちゃんを心配した学園長さんが、
「これがあれば少しは寂しくなくなるんじゃないかな」
ってプレゼントしてくれたんだって。
── 優しいよねっ!
ソフィーちゃんはもらったその日に『異世界通話』アプリの使い方も教えてもらって、そこであたしを見つけてくれたんだ。アプリを起動させたら私からの通話が来てたんだって言ってた。
── あたし、ナイスタイミングだったんじゃない?
でも一番多かったのは、やっぱりメイお姉ちゃんの話だ。夜遅くまで起きてイチゴのカバンを作ってくれた話や、毎朝髪の毛をツインテールにしてあげる話、花壇を見て喜んでくれた話。ほんっとにメイお姉ちゃんが大好きなんだね。そうそう、メイお姉ちゃんの髪の毛は「藤の花」とおんなじ色なんだって!
── きっときれいなんだろうなー。
藤色の長い髪をツインテールにしたお姉ちゃん。
── ぜったい美人だよね!
学園の話もいっぱいしてくれたよ。全寮制で二つの世界から学生が集まってきていること。
なんか、『現実世界』と『幻想世界』っていう二つの世界があって、その二つの世界の間にワールドエンドミスティアカデミーはあるらしい。だけど、ソフィーちゃんは学園から出たことがなくってよく知らないって言ってた。
── どんな世界なんだろうね?
学園の話の中でも一番気になったのは迷宮図書館だ。
「図書館なのに迷宮ってどういうこと?」
『あのね、中に入るとずーっと奥まで本棚が続いていて、道も真っ直ぐじゃないから、よく知ってる人と一緒じゃないと迷ってしまうのよ』
── 何、そのおいしすぎる設定は!?
本がいっぱいと聞いて一番喜びそうなのはれーちゃんなんだよね。れーちゃんは読書が趣味で、本を読み出すと周りの音が全然聞こえなくなっちゃうくらいの本好きなんだ。くわしく聞いて今度会ったときに自慢してやろうと思ったら、
『とにかく本がいっぱいで、一人だと自分がどこにいるかもわからなくなっちゃうくらい広いのよ』
としか言われなかった。
── くうぅ、あたしがそこにいたらすみずみまで探検するのにっ!
「あーあ、行ってみたいなー。迷宮図書館!」
ベッドの上で足をジタバタさせてたら、
「こら、早く寝なさい!」
って母さんに怒られた。
むむう。
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