第2話 異世界の話は面白いよ!
「ソフィー」と書かれたうさぎのアイコンをタップすると、
『ソフィーと通話しますか?』
という文字の下に、『はい』、『いいえ』の二つのボタンが表示された。迷わず『はい』を選ぶとコール音がなり、パッとうさぎのアイコンが大きくなって画面いっぱいに表示される。
── うわ、かっわいー!
クリクリおめめと真っ白なふわふわの毛に見とれていると、
『はい、もしもしソフィーです。はじめまして、しーちゃんですか?』
「うわ、」
『うわ?』
いきなり話しかけられてちょっとビックリした。
しかも合成音じゃなくて、ちゃんとした人の声に聞こえる。
── ふふ、アニメの声優さんと話してるみたいだ。
あたしも思い切って声をかけた。
「もしもし。あなたがソフィーちゃん? はじめまして。あたし、しーちゃんって言います。よろしくね!」
すると、ちょっと間を置いて答えが返ってきた。
『ねえ、しーちゃん。わたしと友達になってくれますか?』
── おっと。意外に積極的じゃん。
だけど、もっと話してみたくなったから、
「もちろんだよ。ね、あなたのことソフィーちゃんって呼んでもいい?」
って言うと、
『うふふ、いいわよ。これからよろしくね、しーちゃん』
と返ってきた。それがうれしくて、
「じゃあソフィーちゃん、これからよろしくね」
って言うと、
『うん、よろしくね。しーちゃん』
向こうからもうれしそうな声で返事がきた。
「……はー、楽しかった。ソフィーちゃんってかわいいなー。しかも、魔法学園!? 魔法だよ、魔法。なにそれおいしすぎるでしょう」
あたしはアプリを閉じてからも一人で盛り上がっていた。ソフィーちゃんの話はほんとにそんな学園があるんじゃないかっていうくらいリアルだった。
ソフィーちゃんは「メイ」っていう大事な人と一緒にワールドエンドミスティアカデミーという長ーい名前の学園でお世話になってるんだって。二人で学園の寮にいるらしい。メイは今年の春の新入生で15歳。ってことは、高校生かな。学園でいろんな勉強をしているんだって。その中に魔法の勉強の時間もあるらしいんだ!
だけど、ソフィーちゃんは魔法が使えないから授業には参加できなくて、そのかわりに学園のお手伝いをしてるんだって言ってた。
── めっちゃくちゃファンタジーだよね! ……つまり、メイって人は魔法使いってことでしょ? すごいよね!
ソフィーちゃんは魔法のことはくわしく知らないから、
「今度メイに聞いておくね」
って言ってくれた。
── 魔法使いの話なんて、楽しみすぎるよ!
それからは毎晩寝る前にソフィーちゃんとお話するようになった。あたしはその日に学校であったことや、遊んだことを話す。ソフィーちゃんはあたしが普通に知ってることを全然知らなくて、とっても嬉しそうに聞いてくれる。
ソフィーちゃんは学園の話やメイのこと、それからメイの友だちのことを教えてくれた。学園の話はすっごく面白い! 魔法のことなんて全然知らないから、どの話もワクワクする。
魔法の勉強は座学と実技の授業があって、実技専用の体育館があるんだって! ソフィーちゃんは、「危ないから近寄っちゃダメ」って言われてるから中の様子はくわしく知らないみたいだった。
── くうー、魔法学園、かーっこいー!
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