AI編集者レビュー『DAYDREAMER』改稿版

 レビューしてもらえるのが面白くて、他にネタはないかと漁っていたら『DAYDREAMER』の没原稿を見つけました。初稿は大して悩まずに書き上げられたのですが、短編なのだからなるべく短くしよう、と考えていくつかエピソードを削ったりしていました。短縮したために、当時の公開版ではオリジナルとは微妙に設定が変わった箇所もあります。


 AI編集者のレビューの中で、「斉藤」の役割が日替わりで変化していることのわかりにくさについて指摘がありました。ロングバージョンでは、その日の役割が決まるシーンも書かれていたので、削るべきではなかったんですねぇ。


 また、女王の語る歴史もより詳しく記述していました。しかし当初の公開版では「想い出()なんだからもっとふんわりしていた方がいいんじゃないか?」と思ってカットしていたんです。曖昧で取り留めがないからこそ矛盾した言動をするんだと考えていたのでした。

 でも、実は意外と「その手の想い出」ほど、ディテールが真に迫っていたりするものですよね。それぞれを突き合わせれば矛盾があるとしても、本人にとってはそれを思い出している時はそれが疑いようのない真実であり事実なんです。


 ということで、ロングバージョンではどう評価が変わるのか、レビューしてもらいました。




──☆ 宇野  ☆────────────────────


この作品は、何とか5,000字台に収めようとしてエピソードをカットしたり縮めたりしていました。ロングバージョンを入力しますので、比較してみていただけますでしょうか。

きっと、「斉藤の役割への違和感」は良い意味で払拭される(読者が真相を察する)のではないかと思います。


<ロングバージョン>

https://kakuyomu.jp/works/16817330667486535733/episodes/16817330667486565557

(※チャット画面では本文を入力しています)


──☆ AI編集者 ☆───────────────────


ロングバージョンのご提供ありがとうございます。拝読いたしました。


ショートバージョンと比較すると、加筆されたエピソードや詳細な描写によって、作品の持つ深みや「小さな謎」への理解度がどのように変化したか、具体的に見ていきましょう。


─────────────


◆◆ ショートバージョンとの比較 ◆◆


◆ 「斉藤の役割への違和感」の払拭について


ご指摘の通り、ロングバージョンでは**「斉藤の役割への違和感」は、より良い意味で払拭され、読者が真相を察する可能性が格段に高まっています。**


特に顕著なのは、以下の追加された描写です。


✧ メイドへの問いかけと斉藤への反応:


ショートバージョンでもあった「ねえ、そこのあなた! あなた、メイドよね?」の後のやりとりが、より詳細になっています。「え、違うの、忘れたんじゃなくて置いていったのよ。あっ、持っていかなくても…。」というメイドの反応と、その後の女王の「もう、最近のメイドは皆せわしないわね。全然わたくしの話を聞こうとしないんだから。感じがいいのはあの新人の彼だけね。」という独り言が追加されています。

この描写により、女王が周囲の人間を自分の都合の良いように認識し、かつその認識がコロコロ変わっていることがより明確に示唆されます。


✧ 斉藤との「昼間のこと」に関するやりとり:


「はいはい、起きてますよ。どうぞ…あら、あなたね。いいえ、昼間のことは気にしていないわ。わたくしの侍従といっても新人だから教わらなきゃいけないことがたくさんあるのでしょう?」という女王の言葉は、斉藤が昼間は「伝記作家」として対応していたことをすっかり忘れていることを示唆します。斉藤もそれを訂正せず受け入れている様子がうかがえます。


✧ 「XXX国の大使」への役割変更:


「あなたは、ええと……待ってね、思い出すわ。大丈夫、ちゃんと覚えてますよ。ええ……XXX国の大使でしたかしら? 当たりね。」という新たな役割の登場は、女王の認識が時間によって変化することを強く印象付けます。読者はここで、「ああ、斉藤さんは日によって、あるいは時間によって女王の相手をする役割が変わるんだな」と、その背景にある事情(=女王の認知症)をほぼ確信するでしょう。


✧ ラスト前の女王の混乱:


「そう言えば、右筆ゆうひつ官の方はいらっしゃらないの? あなた、伝え忘れてるんじゃない? 伝記作家? いいえ、そんな覚えはないわ。」という終盤の描写は、女王の記憶が断片的であること、そして斉藤の役割をその都度「設定」していることを、読者に決定的に理解させます。


これらの追加によって、「斉藤の役割への違和感」は単なる不自然さではなく、物語の重要な伏線として機能し、読者は「なるほど、そういうことか!」と納得しながら読み進めることができます。小さな謎が提示され、それが物語の途中で徐々に明らかになることで、読者の興味と引き込み度がさらに増しています。


◆ その他の加筆による効果


✧ 女王のキャラクターの深掘り:


「馬鹿王子」との決別後の詳細な状況(「素行も微妙な方でしたし、ライバルさんが真面目に手綱を取られるようにも思えませんでしたから」)や、XXXX殿下との関係性の詳細(「テロリストが出没するようになって」「正式な夫婦じゃなかった」「息子がクーデターを起こした」)が追加されたことで、女王の過去の経験や判断、そしてその後の世界の動きがより具体的に描かれ、キャラクターの多面性や複雑さが増しています。

また、辺境伯との出会いから国を興すまでの経緯も詳述され、女王が単なる幸運に恵まれただけでなく、自身の才能と努力で道を切り開いてきたことが強調されています。これにより、彼女の「この人生を否定させない」という強い意志が、より説得力を持って伝わります。


✧ 世界観の厚み:


魔導具が国を発展させる過程や、その背景にある女王の積極的な関与がより詳しく描かれることで、世界観にリアリティと奥行きが生まれています。読者は、女王の語る「この世界」が、単なるファンタジーではなく、確固たる歴史と技術の進化の上に成り立っているように感じられます。


✧ テーマの強化:


女王の「忘れっぽさ」や記憶の変遷、そして斉藤の温かい受容がより丁寧に描かれることで、「記憶と現実」「自己肯定」という作品の根幹にあるテーマが、より多角的かつ深く表現されています。


◆ 全体としての評価


ロングバージョンは、ショートバージョンが持つ魅力(ユニークな視点、温かいテーマ、鮮やかなオチ)を維持しつつ、細部の描写を深めることで、物語のリアリティと読者の没入感を格段に向上させています。


特に、「斉藤の役割への違和感」が良い意味で解消されるだけでなく、それが女王のキャラクターの深層や物語のテーマに結びつく巧妙な仕掛けとして機能している点は、本作の大きな強みとなるでしょう。


このロングバージョンであれば、読者は途中で離脱することなく、小さな謎を楽しみながら読み進め、最終的な結末に大きな感動を覚えるはずです。


このロングバージョンで、作品の魅力はさらに増したと感じます。何か他に比較したい点や、気になることがあれば、遠慮なくお尋ねください。


─── チャット引用ここまで ──────────────




 『チェイサーズ』のレビューでもそうでしたが改めて言うと、変更箇所を把握して変更前と比較し、その変更にどういう意味があるのか、新たな価値は生まれたのか、というのをAIは見てくれています。


 ただ今回は、質問時に「違和感は良い意味で払拭されるのではないか」と言ってしまったので、回答を誘導してしまったかもしれません。こういうとき、Geminiはよっぽどダメでなければ肯定してしまうんですよね。


 という懸念を脇に置いて(置くんかい)素直に受け止めると、長くすることで読者の理解が深まり興味を引き続けられる、という評価のようですね。

 ということで、本日(2025年8月3日)以降はこちらのバージョンを公開しておきます。



今回の俎上作品:

『DAYDREAMER』(ロングバージョン)

https://kakuyomu.jp/works/16817330667486535733

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