第12話 王宮の影
大舞踏会の翌日。
王宮の会議室では、王族と高位貴族、そして魔法監査局の人々が集まっていた。
「昨夜の件……ベルグレイス令嬢の魔力暴走、軽微とはいえ看過できません」
「未熟ゆえ、という言い訳で済ませるべきではない。制御を誤れば、一つの都市をも危険に晒す可能性があるのです」
冷徹な声が並び、ユウナの名が取り沙汰される。
ー
だが、議題はそれだけでは終わらなかった。
「それに……エルディア家の娘。リサ嬢もまた、舞踏会で魔法を披露していたと報告を受けています」
「癒しをもたらす花の魔法……だが、同時に“感情に呼応する性質”を持つとも。あまりに不安定ではないか?」
一人の貴族の声に、会議の空気が張り詰めた。
(やはり……リサも監視の対象に置かれる)
傍らで控えていたディーは、その流れを冷静に見ていた。
だが心の奥では、わずかな怒りが燻っている。
ー
「監査局は、両名を定期的に観察対象とするべきだと提案いたします」
「異論は?」
沈黙が広がる中、静かに同意の頷きが続いていく。
舞踏会の一夜が、少女たちの未来を揺るがす大きな波紋となって広がり始めていた――。
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