7機目
翌朝、ドアをたたく音がして目が覚める。時計を見ると、7時と表示されていた。
「やっべ!遅刻する!あっ!違うわ。昨日なんか新しい学校とか言われたな。」
ドアに向かい、ドアを開けると昨日部屋に案内してくれた人が立っていた。
「30分後に先日お話をした部屋に行ってください。元宮代表がお待ちです。」
(代表室)
「おはよう、琉翔君。昨日はよく眠れたかな。」
「はい。おかげでさっきまでぐっすりでした。ありがとうございます。」
「なら、良かった。昨日言った通り、君はWSMOが世間に隠したいヴァーニマエの正体を知ってしまった。この国の3大名家の子とはいえ、暗殺される可能性は十分ある。」
「やはり知っていましたか。」
「まぁ、この国だと珍しい名字だしね。昨日の時点で君の事も調べてあったからね。でもこれで、元宮と神楽がこちら側についた。後は内院家もこちら側にいると、この団体の箔が付くんだけどね。あそこの家、WSMOの支援者だから難しそうなんだよね。」
「そうなんですね。でも僕は…。」
「知っているよ。でも気にするな。家の名なんて飾りだ。大切なのは意志を持って行動することだよ。ちょっと汚い話をしてしまったね。話を変えようか。学校は僕が所有する島にある。リーンカーネーションが建てた専用の学校だ。今はまだ、我々が保護したヴァーニマエとグベルニーターのためだが、この先この国でも先日同様事故が起きれば一般の被害者の子供も保護する予定だ。今日から君と柚君はここに通ってもらうよ。若者には学校が必要だからね。そこの島に君の部屋も用意させてもらった。必要なものは君の部屋に置いてある。それから、引っ越しの対処はこちらでやっておくよ。元の部屋の荷物も後で届けさせるよ。」
「何から何まで用意して頂いてありがとうございます。」
僕は元宮さんにお礼を言った。
「いいんだ。これもわたしが行える社会貢献の一つだからね。」
かっこいい。僕もこんなことをサラッといえる大人になりたいと思った。
部屋に戻ると、ドアの前に白を基調とした制服に身を包んだ柚がいた。
「学校。一緒に行きましょう。島まで元宮さんが送ってくれるって。」
「お、おう。分かった。ならちょっと待っていてくれ。」
(学校にて)
とある教室で朝早くから集まっていた集団が談笑していた。
「ねぇ、聞いた。また新しい子が来るんだってよ。」
「あんた、どこでそんなこと聞いたのよ?」
「さっき職員室に行ったときよ。」
「へー。で今度はどんな子なの?」
「知らないわよ。でも2人の内一人は男の子だそうよ。」
「あら、なら一人はグベルニーターで確定ね。ヴァーニマエとグベルニーターの適合率は天文学的確率。巡り合えただけで奇跡なの。今度はどんなカップリングを見せてくれるのかしら?」
「あー、早く会ってみたいわ。たのしみで夜しか眠れない気がする。」
だが彼女らは知らない。新たに来るその少年は今までのグベルニーターとは違うという事を。なんならヴァーニマエの方も自分達とは置かれている状況が全く違うという事も知らなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます