第5話 【薬術】
「どうやって作るんだろう?」
ポーションを作る場所は聞いたものの、肝心の作り方を聞き忘れてしまったため、一度ミスズの下へと戻って行った。
「すいません、ミスズさん。ポーションの作り方が分からないんですけど、教えてもらえませんか?」
「普通は教えていないんですが、サキさんには特別に教えてあげますね。まず薬草を適量潰してもらいます。その潰した薬草を、初級セット内にある釜に入れて貰って、薬草が溶ける適度な温度で火をつけてから、水に魔力を加えた魔力水を混ぜながら、煮詰めていきます。ある程度時間が経ちますと、色が変わってきますので、変わったと思ったら瓶へと移してください」
「ありがとうございます! (生産のレシピは、ギルドの人に教えてもらえないんだ。まあ生産って剣術と同じように技術の塊だから、仕方ないよね。私は称号のおかげで教えて貰えたんだろうけど、肝心なところを誤魔化していたから、そこでバランスを取っているんだろうなぁ)その薬草ってどこで売っていますか?」
「薬草くらいなら、ギルドでも売っていますよ」
「じゃあ買っておきます」
生産の準備を終えたサキは、ついに生産を始める。
「ふぅ、挑戦なくして成功なしだよね!」
サキは時間や分量が分からない以上、数を重ねなければならないと思い、適当にやってみることにした。
「薬草を潰してー」
「きゅう!」
「薬草をー、釜に入れてー、火をつけて―」
「きゅう!」
「そこに魔力水を入れてー」
「きゅう」
サキの完成度の高い歌にカグヤも乗って来て、耳心地のよい歌となっていた。
「おっ、色が変わって来たから、火を止めて、瓶に移せば完成!」
――インベントリ――
劣化ポーション レア度1 品質E
体力が20回復する。
とてもまずい
――インベントリ――
「やっぱりそう簡単にはいかないよね。試行錯誤を重ねて、ちょうどいい時間と分量を探していくしかないか」
サキは試行錯誤の第一歩として、魔力水に加える魔力を増加させることにした。
そして一連の流れが終わる。
――インベントリ――
ポーション レア度2 品質E
体力が50回復する。
若干の苦みがある
――インベントリ――
「おっ、いい感じにできたんじゃn――」
『スキル 【薬術】を獲得した』
「これは称号のおかげかな? スキルを得られたから、もっといいポーションを作れるかも!」
サキはポーションを作成したのと、全く同じ手順でポーションを作成しに掛かる。同じ手順のはずだが、段違いに早く完成した。
そのポーションは気のせいかもしれないが、サキの目には輝いて見えた。
――インベントリ――
ポーション レア度2 品質C
体力が150回復する
若干の苦みがある。
――インベントリ――
「やったぁ、品質Dを飛ばしてCを作成できた!!」
「きゅう!!」
喜ぶご主人様を見て、カグヤも嬉しくなって、甲高い鳴き声を上げた。
「よーし! 借りた時間が終わるまで作り続けるぞ! おー!」
「きゅう!」
サキとカグヤは拳を突き上げた。
――2時間半経過
「ふぅ、もう時間かぁ。夢中になると時間が過ぎるのが早く感じるよ。でもたくさんできたし、私的には満足かな」
――リザルト――
品質C×6
品質D×11
品質E×4
――リザルト――
「最初の方は安定して品質Cを作れたけど、段々と集中が浅くなっちゃったから、品質も下がっちゃったんだろうなぁ。最後の方なんて、魔力水のムラがすごかったからな。まあ終わったことだし、多めにできた品質Dをいくつか売ろーっと」
サキたちは生産室を後にし、階段を降りていた。
「カグヤは、私が生産している姿を見ていて、つまらなく無かった?」
「きゅう!」
カグヤは楽し気な鳴き声をあげた。
「それならよかった」
二人は本日何度目かのギルドの受付へと来ていた。
「すいませーん」
「はーい、サキさん、今日は終わりですか?」
「はい、作ったポーションを売ることってできますか?」
「はい大丈夫ですよ」
売れると聞いたサキは、インベントリの中から品質Dのポーションを4つほど取り出した。そしてミスズに手渡した。
「すごいですね! 初日から品質Dを作れるなんて、きっと才能が有りますよ!!」
「あ、あの、売るつもりはないんですけど、これを」
サキはインベントリから品質Cのポーションを取り出し、ミスズに手渡す。彼女の顔は一瞬だけキョトンとし、目を見開き、サキに掴みかからんとする勢いで受け付けを乗り出してきた。
「本当に初心者ですか!? 実は私を驚かすために身分を隠した、どこかのお偉いさんだったりしませんか!! 私的にはそっちの方がいいです」
「すみません、正真正銘の初心者です」
「うーん、きっと私は夢を見ているんですね。初めての職業が【聖女】で、【薬術】を初めて一日で品質Cに至る……きっと働きすぎたんです。すいません、早退します」
「お、お大事に」
ポーションを売りたいなどと言いだせる空気ではないため、逃げるようにギルドを後にした。
「そろそろ、夜ご飯の時間になるだろうし、そろそろログアウトしようかな」
『ログアウトしました』
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