再びどこかで話題になる
再び謎の美女がたたずむ小さな神社。
「手紙は渡したのだよな?」
「ええ、本人ではなく家人にではありますが、確かに渡しましたよ」
「なぜ来ないのだ」
いますぐにでも神社から飛び出していきそうな勢いで、蛇を問い詰める女。
またはじまったかのと、ため息交じりに蛇が答える。
「なんででしょうねえ。まだ読んでないんですかねえ」
「手紙など用事があるからこそ届くのだから、すぐ見なければ意味が無いだろう」
「最近の人はわからないですよ」
いけない、もうこれは我慢の限界なのだなと蛇は察した。今度こそ直接言葉を伝えなきゃならない、面倒ではあるがもう一度鳥安の家に行かなくてはならないと覚悟を決める。
幸い日もそろそろ落ちてきて暗くなってくる頃合い。人目にも付きにくいだろう。
「でしたらもう一度行ってきますわオヤカタさま」
「う? うぅーむ、うむ」
「今日は無理でも近日中には来るように言っておきますね。もしいなかったら申し訳ありません」
間を置かず早速行くとの対案を提示され、女も感情のボルテージを下げざるを得ない。もやもやしたものを残しつつも蛇の出発を見送る。
「うむ……、気をつけてな」
蛇は夕暮れの薄暗い道にするりと溶け込み社から出て行く。今度はなんとか話をつけなければならない。どんな形でも結果を持ち帰らねばと決心するのだった。
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