第7話:真夜中のリズムガーデン
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@RefrainBeat_KANA 2025/06/26 21:00:00 JST
#ライブ成功 #打ち上げ最高 #夜のスタジオ
今日はお泊まり会気分でみんなで打ち上げ!
ライブの疲れも吹っ飛んだよ!
そういえば、響ちゃんがなんか「夜のスタジオで変な音が…」
って言ってたけど、まさか本当に…?
@Tsukishima_Hibiki 2025/06/26 21:30:00 JST
#スタジオの噂 #怖い音 #忘れ物
忘れ物しちゃった…。
夜のスタジオ、なんか出るって噂あるんだよな…。
でも、行くしかない!
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怜は受付カウンターで、
静かにグラスを磨いていた。
カフェスペースからは、
リフレイン・ビートのメンバーの
弾むような笑い声が聞こえてくる。
文化祭ライブの打ち上げだ。
彼女にとっては、
いつも通りの騒がしい日常。
だが、その音は、
どこか心地よく響くようになっていた。
冷蔵庫からビールを取り出し、
一口飲む。
喉を滑り落ちる苦みが、
微かな熱を帯びる。
【ライブ後の打ち上げの喧騒】
カフェスペースでは、
ライブを終えたばかりの
リフレイン・ビートのメンバーたちが、
キャッキャと騒いでいた。
奏が「私たちの曲、『青空スコール』、
みんな盛り上がってくれたね!」と
顔を輝かせる。
響も「まじやばかったー!」と
興奮冷めやらぬ様子だ。
梓咲は静かに笑い、
結月は上品に拍手をしている。
テーブルには、食べかけのポテチと
飲み物のグラスが並ぶ。
甘くてしょっぱい匂いが、
青春の証のように充満していた。
眼鏡をかけた怜は、
そんな彼女たちの様子を
遠巻きに見守っていた。
彼らの笑顔は、
怜の凍り付いていた
心の表面を、
微かに溶かしていくようだった。
【静かな夜のスタジオ、動き出す影】
楽しい時間はあっという間に過ぎ、
リフレイン・ビートのメンバーは
それぞれの家へと帰っていった。
ガチャリ、とドアが閉まる音。
残されたのは、
冷めきったコーヒーの匂いと、
食べ残されたポテチの袋。
スタジオに静寂が戻った。
怜は、誰もいなくなったカフェスペースで、
グラスを拭く手を止めた。
ふと、彼女の視線が、
奥のスタジオに向けられる。
そこには、ドラムセットが
静かに佇んでいた。
彼女の心に、
微かな衝動が芽生える。
怜は立ち上がった。
足元から伝わる床の硬さが、
静寂の中でより鮮明に感じられる。
ドラムセットに近づき、
スティックを手に取る。
コツン、と微かな金属音が響いた。
彼女は眼鏡を外した。
視界が広がる。
照明が落とされたスタジオに、
怜の姿が浮かび上がる。
そして、ゆっくりと、
ドラムを叩き始めた。
最初はたどたどしい。
だが、次第にその音は、
怜の指の動きに合わせて、
力強く、そして情熱的に変わっていく。
【響が見た伝説のソロ】
怜の脳裏には、
かつてブレイズとして
ステージに立っていた頃の、
熱狂的なライブの記憶がよぎる。
『Burning Soul』の激しいフレーズが、
心臓の奥底から蘇る。
彼女のドラムは、
まるで魂を燃やすかのように、
超絶的なソロを紡ぎ出した。
スタジオ全体が、
その音に震える。
その時、ガチャリ、とドアが微かに開いた。
忘れ物をした響が、
スタジオに戻ってきたのだ。
響は、その光景を目の当たりにし、
息をのんだ。
暗闇の中、浮かび上がる怜のシルエット。
そして、耳を劈くような、
しかし、魂を揺さぶるドラムの音。
それは、以前クリムゾン・シールドの
鳴海律架のドラムに圧倒された時とは
全く異なる感覚だった。
怜の音は、
響の体の奥深くまで響き渡り、
鳥肌が止まらなかった。
そして、響の脳裏に、
幼い頃にどこかで聞いたことがあったような、
懐かしい、けれど圧倒的な響きが蘇る。
響は、その場に立ち尽くしたまま、
怜の姿から目が離せなかった。
怜は、無意識のうちに
ドラムを叩き続けていた。
熱い汗が、
怜の額から流れ落ちる。
彼女の心には、
長い間閉ざされていた
音楽への情熱が、
再び燃え上がっていた。
それが、彼女自身の「ビート」。
静寂に包まれたスタジオで、
その音だけが、
力強く響き続けていた。
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@RefrainBeat_KANA 2025/06/26 23:00:00 JST
#ライブ成功 #打ち上げ最高 #夜のスタジオ
今日はお泊まり会気分でみんなで打ち上げ!
ライブの疲れも吹っ飛んだよ!
そういえば、響ちゃんがなんか「夜のスタジオで変な音が…」
って言ってたけど、まさか本当に…?
@Tsukishima_Hibiki 2025/06/26 23:30:00 JST
#衝撃の事実 #伝説のドラマー #鳥肌が止まらない
忘れ物取りにスタジオ戻ったら、とんでもないもの見てしまった…。
オーナーさん、やっぱり只者じゃないオーラがヤバい。
@RhythmGarden_Ray 2025/06/27 00:00:00 JST
#余韻 #無意識の衝動 #過去の残響
静寂。そして、衝動。やはり、この音は…(自嘲気味な笑顔の絵文字)
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【次回予告】
結月:「クリムゾン・シールド様の演奏は、まさしくプロの領域ですわ…」
奏:「でも、なんだか、苦しそうに見える時もあるよね?」
怜:「……(珈琲を一口)」
次話 第8話 プロの音色と、影の旋律
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