第6話:緊急事態!天才の代打

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@RefrainBeat_KANA 2025/06/23 12:00:00 JST

#文化祭ライブ #大ピンチ #どうなる私たち

今日は文化祭ライブ本番!でも、梓咲ちゃんが体調崩しちゃって…

大ピンチです!どうしよう私たち…!


@Tsukishima_Hibiki 2025/06/23 12:30:00 JST

#ライブ直前 #まさかの展開 #神頼み

マジで焦ってる…。ベースなしでライブなんて無理だろ…。

誰か助けてくれー!


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怜はライブハウスの

客席からステージを眺めていた。

文化祭の喧騒が、

微かに耳に届く。

本日の出演バンドリストには、

リフレイン・ビートの名前があった。

彼女にとっては、

単なるスタジオの利用者が

場所を借りてライブをする、

それだけの話だった。

特別な感情はない。

ただ、予定通りに

事が進むことを望むだけだ。

淹れたてのコーヒーを一口。

苦みが口内に広がる。

照明のテストが繰り返され、

まぶしい光がステージを照らす。


【ライブ前の緊張とパニック】


ライブ本番まで、あとわずか。

リフレイン・ビートのメンバーは、

楽屋で緊張に震えていた。

しかし、その緊張は、

すぐにパニックへと変わる。

ベース担当の梓咲が、

顔面蒼白で倒れ込んだのだ。

「ごめ…無理…」

熱を持った額から、

汗が筋になって流れ落ちる。

奏が「ええーっ!?」と

悲鳴のような声を上げた。

響も「どうしよう、ライブが!」と

顔を青ざめ、パたりと膝から崩れ落ちる。

結月も不安そうな顔で立ち尽くす。

楽屋に充満する、

焦りと絶望の匂い。

響の心臓が、

ドクドクと不規則に脈打つ。


【オーナーの登場と緊急事態】


その時、楽屋のドアが

ガチャリと音を立てて開いた。

眼鏡をかけた怜が、

腕組みをして立っている。

いつもの無表情。

「うるさいな。何があった」

その声は、静かだが、

有無を言わせぬ響きを持っていた。

響が泣きそうな顔で

怜に詰め寄る。

「梓咲が…ベースが…!

私たちのライブが…!」

震える声で訴える響に、

怜は一度だけ目を細めた。

怜の視線が、

梓咲が床に落としたベースに注がれる。

そこには、

無数の夢が詰まっているかのようだった。


【怜の決断と神業】


怜はため息をついた。

「はぁ?…仕方ないな」

そして、ひょいと梓咲のベースを手に取る。

その手に、ためらいは一切ない。

メンバーが慌てて差し出した譜面を、

怜はチラリと一瞥しただけだった。

そこには、

怜が今まで触れたことのない

シンプルなベースラインが記されていた。

彼女の指が、

弦を確かめるように

滑る。

ステージへ向かう怜の背中。

その際、怜は眼鏡を外した。

視界が鮮明になる。

ステージライトが、

怜の銀色の髪を照らす。


涼しい顔で、

完璧なベースラインを奏でる怜。

初めて弾くはずの曲なのに、

まるで長年弾き込んできたかのような、

淀みない音色だ。

メンバーは、その演奏に

口をあんぐり開けて呆然とした。

「天才…!」「あの曲、初めてなのに…!」

響の心臓が、

先ほどとは違う速さで脈打つ。

それは、恐怖ではなく、

畏敬の念だった。

怜の指が、まるで生き物のように、

しなやかにベースの上を踊る。

その姿は、

まるで別の存在のようだった。

会場に響き渡る怜のベースの音。

それは、リフレイン・ビートの音に、

確かな輪郭を与えていた。


ライブは、大成功だった。

リフレイン・ビートのメンバーは、

興奮と安堵で

顔を輝かせている。

怜は、ライブが終わると同時に

ベースを梓咲の傍らに置いた。

そして、無言で楽屋を後にする。

彼女の背中からは、

何の余韻も感じられなかった。

ただ、静かに、

怜の足音が廊下に響く。

彼女の心には、

微かな波紋が広がっていた。

それは、長い間止まっていた、

彼女自身の「ビート」が、

再び動き出した兆候だった。


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@RefrainBeat_KANA 2025/06/23 15:00:00 JST

#文化祭ライブ #大ピンチ #奇跡のベース

文化祭ライブ、まさかの大ピンチでした…!

でも、オーナーの怜さんが…!

もう、すごすぎて、何が何だか…!

私たちのライブ、成功したよね!?


@Tsukishima_Hibiki 2025/06/23 15:30:00 JST

#オーナー神 #伝説の片鱗 #鳥肌が止まらない

ライブ、本当に焦った…。

でも、オーナーさんのベース、ヤバすぎた…!

あの人、やっぱり只者じゃない!


@RhythmGarden_Ray 2025/06/23 16:00:00 JST

#緊急対応 #やれやれ #騒がしいが

騒がしい奴らだ。まあ、何とかはなった。


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【次回予告】

響:「ねぇ、このスタジオ、夜になると変な音が聞こえるんだけど…」

奏:「まさか、幽霊!?」

怜:「……(無言でスティックを回す)」

梓咲:「霊的なものより、物理的な爆音の方が迷惑だ」


次話 第7話 真夜中のリズムガーデン

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